民話や伝承、ファンタジーやSF、児童文学や漫画など、「すこしふしぎなおはなし」に惹かれるおじさんのつぶやき。
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人はだれでも幼い日々、空想にふけり、みずからを主人公として大いなる夢を見る。日本を代表するファンタジー『だれも知らない小さな国』は、著者の少年の日々の思い出が、コロボックルという小人を主人公とする物語として実を結んだものである。ファンタジーとは、現実にはありえない空想の世界を綿密な計算と完ぺきなルールをもとに、あたかもおこったかのようにリアルに描いた文学である。本書は、みずからの作家活動をふりかえりつつ、『不思議の国のアリス』など、内外の有名な作品を通して、ファンタジーの楽しさ、おもしろさをさぐった。(表紙より)
幼いころに、コロボックルシリーズを夢中になって読みました。
作者の佐藤さとるさんが、ファンタジーについて論じている本です。
コロボックルシリーズがどうやって生まれたのか、その創作の過程、モチーフとなったもの、原話だったものの話など、シリーズの愛読者には楽しいお話が前半で楽しめます。何度も書き直して、物語を完成させていくお姿に、作家ってやっぱりすごいなあと感嘆しきりです。
そして、ファンタジーとはなにかという定義やその創作方法などに話が移っていきます。
メルヘンが、「信じられないと知りつつも聞く」タイプのに対し、ファンタジーは、「起ったかもしれないと思わせる」タイプであると論じられていて、「なるほど!」と読む間、ずっとうなずいていました。
古今東西のすぐれたファンタジー作品も紹介されており、『不思議の国のアリス』や『ナルニア国物語』など、有名なものも紹介されているのですが、サトウハチローの『あべこべ玉』が僕には興味深かったです。この話は、兄妹が入れ替わってしまうというお話で、男女逆転物語というものは、昔からあるのだなあという思いと、読んでみたいなあという思いがわいてくるすてきな紹介になっています。
児童文学に対する思いも書かれており、佐藤さとるさんの作品に触れたことがある人には、とても面白い本だと思います。PR
変装の名人・怪人二十面相と明智小五郎の暗闇やいかに…。紅顔の美少年・小林君の活躍は!? 戦前戦後の少年少女たちを熱狂させたシリーズの挿絵、BDバッジ、少年探偵手帳などグッズ満載。乱歩の未発表草稿も掲載。
初出時の掲載雑誌の挿画がたくさん掲載されているビジュアルブックです。
僕が幼い頃に愛読したのは、ポプラ社版。
活字が潰れて新装版に改訂されたと書いてあるので、そうとうに読まれたことがわかりますね。
戦前・戦後の少年雑誌の雰囲気なのでしょうか、登場する少年たちは舞台劇のように、まつ毛が長く、美少年として描かれています(髪型は坊主か坊ちゃん刈りですが)。そして、明智探偵も同じように美中年として描かれています。カッコイイ!
そして、二十面相。小林香恒がシルクハットに黒マント姿を最初に描き、それが定着していったようです。梁川剛一描く二十面相の目がすごく、妖しい魅力を放っています。そして、当然、二十面相といえば変装です。
大コウモリ、機械人間、黄金豹、郵便ポスト、ロボット、宇宙人、怪人魚・・・。大コスプレ大会の様相ですが、描くのも一苦労だったでしょう。それにしても、道化師の顔が怖すぎです。
少年雑誌の規制が厳しくて「盗」の字がだめだったがために、怪「人」二十面相となったというくだりも面白かったです。怪盗二十面相と怪人二十面相では、受ける印象がずいぶん違いますよね!
漫画家や映像化など他のメディアでも展開された少年探偵団シリーズ。
藤子不二雄が『怪人二十面相』を描いていたり、ちばてつやの名前があったり、梅宮辰夫が明智役をやっていたり、新鮮な驚きがあります。田村正和の明智vsビートたけしの二十面相も見てみたい。
乱歩による挿画の指示の紙があったなど、創作の秘話もあったりして、楽しく読みました。
少年探偵団シリーズが好きな人はぜひお読みください。