忍者ブログ

ふしぎ図書室

民話や伝承、ファンタジーやSF、児童文学や漫画など、「すこしふしぎなおはなし」に惹かれるおじさんのつぶやき。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

『第四惑星の反乱』R・シルヴァーバーグ:作/中尾明:訳(SFロマン文庫1)

宇宙バトロール軍士官候補生ラリー・スタークは、練習生として宇宙練主戦カーデン号に搭乗し、アルファC第四惑星を目指していた。アルファCに到着したものの、そこでは植民地政策に反対した現地人が、革命を起こそうと激しい動きを見せていた・・・。


 R・シルヴァーバーグのデビュー作。しかも、少年向けのもので、非常に面白かった。

 読んでいて何を一番に連想したかというと、『機動戦士ガンダム』です。
 行政官を送り込み植民地を支配しようとする地球、課税などに苦しみ植民地支配からの解放を目指す惑星たち・・・。

 父が宇宙パトロール軍の司令官である主人公のラリー。
 これまで受けた教育から、彼は地球を信奉していますが、途中からどちらが正しいかわからなくなってしまいます。アメリカの作家だから、当然、植民地側につくのだろうなと思っていましたが、単純にそんな話ではないところがこの物語のすごいところです。

 宇宙パトロール軍に入るという自分個人の夢と世間の状況の食い違いにラリーは悩みます。そして、地球と植民地でいえば、どちらかというと地球が間違っている。でも、植民地側につけば自分の夢はかなわない。自分はどちらを選択すればいいんだという葛藤に中盤から後半にかけては、ずーっと苛まれているのです。

 少年の成長物語というのがテーマとしてあって、最終的にラリーは「なにごともじぶん自身で判断をくだし、じぶんで行動しなければならない」という父の教えを思い出し、けして自分は間違っていないと思うのです。これまで自分が教わってきた既成の価値観を盲目する人間から、一歩踏み出して自分の責任でものごとを決定していく「大人」へ彼は歩み出したのです。

 最後に混迷する社会に放り出されるラリーですが、この後の彼の人生を想像しながら読者はこの本を置くことでしょう。それは、19歳でこの物語を書いたというシルヴァーバーグの気持ちそのものだったに違いありません。

 さて、この本はSFロマン文庫という叢書の1冊目です。すてきな作品がまだまだありそうなので、また読んでみたいと思います。
PR

『ねじれた町』眉村卓 (SFベストセラーズ)

父の転勤でQ市へ越してきた和田行夫。引っ越したその日、はがきを出そうと出歩いていた行夫が偶然出会った女の子に案内された方向へ行くと、そこはなんだかようすがおかしくて・・・。


 意志の力が現実に反映してしまう奇妙な街へ越した少年が主人公です。
 ここまで読んできたSFベストセラーズのシリーズの中では、もっとも入りこめた作品かもしれません。冒頭の出した手紙が明治時代から、友人の家に受け継がれていて、それを手渡されるというところには惹きこまれます。

ネタバレしてます。

『夕ばえ作戦』光瀬龍(SFベストセラーズ)

スポーツと機械いじりの好きな中学生砂塚茂は、古道具屋で奇妙な円筒を見つける。それを購入した帰り道、円筒のつまみをいじっていると、彼は江戸時代へタイムスリップしていた!そして、伊賀忍者と風魔忍者の戦いに巻き込まれていくこととなる・・・。


 江戸時代の忍者の戦いに、現代の中学生が挑む!
 タイムスリップして、昔の人と戦うというテーマは、今でも使われる一つのパターンですよね。
 現在公開中の「ブレイブ‐群青戦記‐」も高校生vs戦国武将という作品です。


ネタバレしてます。

『時をかける少女』筒井康隆(SFベストセラーズ)

放課後の理科実験室で正体不明の人物を追った芳山和子。あやしい人影は姿を消し、そこにはラベンダーの香りのする薬びんが残されていた。そのまま和子は気を失い介抱される。そして、彼女はある能力を手にすることとなる・・・。表題作他「悪夢の真相」「果てしなき多元宇宙」を収録。


 言わずと知れたSFジュブナイルの傑作。
 何度も映画化されているので、筒井作品の中でも有名な作品です。
 鶴書房のSFジュブナイルシリーズですが、福島正実さんの解説がついていたり、SF第一世代ファンとしては、楽しく読むことができました。


ネタバレしてます。

『かいじゅうゴミイ』 筒井康隆・馬場のぼる (すばる書房)

筒井康隆の幼年向け童話。ゴミの島に原子力発電所のゴミを間違えて捨ててしまったことで、「かいじゅうゴミイ」が誕生してしまった!表題作「かいじゅうゴミイのしゅうげき」の他「うちゅうをどんどんどこまでも」「赤ちゃんかいぶつベビラ!」を収録。


 『筒井康隆全集』で読んだことはあったものの、『11ぴきのねこ』シリーズで有名な馬場のぼるさんのイラストつきで読むと、また違う味わいがあります。


ネタバレしてます。

プロフィール

HN:
A・T
年齢:
40
性別:
男性
誕生日:
1983/08/31
自己紹介:
ジブリとSFと児童文学とマンガが三度の飯より大好きなおじさん。

カテゴリー

最新記事

RSS

リンク

P R