スポーツと機械いじりの好きな中学生砂塚茂は、古道具屋で奇妙な円筒を見つける。それを購入した帰り道、円筒のつまみをいじっていると、彼は江戸時代へタイムスリップしていた!そして、伊賀忍者と風魔忍者の戦いに巻き込まれていくこととなる・・・。
江戸時代の忍者の戦いに、現代の中学生が挑む!
タイムスリップして、昔の人と戦うというテーマは、今でも使われる一つのパターンですよね。
現在公開中の「ブレイブ‐群青戦記‐」も高校生vs戦国武将という作品です。
まず、かっこいいなあと思ったのは、タイムマシンが直系10cmくらいの円筒であるというところ。つまみを回すだけで、時空を超えるというお手軽感。
忍者ブームというのが、昔もあったというのは物の本で知ってはいますし、「カムイ外伝」とか読むのが好きだったので楽しいですね。忍者の超人的能力というものは、歌舞伎や講談本から始まり、白土三平のマンガとか山田風太郎に連なって行って、「ナルト」なんかに行き着き、今では世界的に有名になったのでしょう。
科学は魔法みたいなものだと言った人もいたと思いますが、昔の人から見れば
科学は忍法みたいなものです。体格や運動神経に勝る現代人は中学生でも、大人の忍者と互角に渡り合います。そして、現代の道具を以て忍術とし、忍者と死闘を繰り広げます。
かんしゃく玉から始まり、最後はバイクやラジコンを投入するなど、中学生諸君は風魔一族と渡り合い、最後にはやっつけてしまいます。かなりの犠牲者を出しながらでしたが・・・。
途中にはメロドラマもあり、相手方風魔の一族の風祭陽子は現代にタイムスリップし、茂の家で過ごすうちに、戦いのむなしさを感じ棟梁の兄を説得しに行きます。しかし、兄に斬り殺されてしまい、死んでしまいます。戦いの興奮のあとに残るのは、勝利の凱歌よりも陽子を失った悲しみでした。全体を読んで、戦うということの意味のなさを感じてしまいました。
解説は福島正実さん。歴史上でタイム・トラベルしたんじゃないかという人を紹介しているのですが、サン・ジェルマン伯爵の話なんかはとても面白いです。日本にも現れたのじゃないかと書いてあるとこなんかは、「マジかよー」と思いながらも楽しい。光瀬龍さんの作品を久しぶりに読みましたが、なかなか楽しめました。次は、眉村卓さんの作品を読みたいと思います。
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