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ふしぎ図書室

民話や伝承、ファンタジーやSF、児童文学や漫画など、「すこしふしぎなおはなし」に惹かれるおじさんのつぶやき。

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『江戸川乱歩と少年探偵団』編=堀江あき子 (らんぷの本)

変装の名人・怪人二十面相と明智小五郎の暗闇やいかに…。紅顔の美少年・小林君の活躍は!? 戦前戦後の少年少女たちを熱狂させたシリーズの挿絵、BDバッジ、少年探偵手帳などグッズ満載。乱歩の未発表草稿も掲載。


 初出時の掲載雑誌の挿画がたくさん掲載されているビジュアルブックです。

 僕が幼い頃に愛読したのは、ポプラ社版。
 活字が潰れて新装版に改訂されたと書いてあるので、そうとうに読まれたことがわかりますね。

 戦前・戦後の少年雑誌の雰囲気なのでしょうか、登場する少年たちは舞台劇のように、まつ毛が長く、美少年として描かれています(髪型は坊主か坊ちゃん刈りですが)。そして、明智探偵も同じように美中年として描かれています。カッコイイ!

 そして、二十面相。小林香恒がシルクハットに黒マント姿を最初に描き、それが定着していったようです。梁川剛一描く二十面相の目がすごく、妖しい魅力を放っています。そして、当然、二十面相といえば変装です。
 大コウモリ、機械人間、黄金豹、郵便ポスト、ロボット、宇宙人、怪人魚・・・。大コスプレ大会の様相ですが、描くのも一苦労だったでしょう。それにしても、道化師の顔が怖すぎです。
 少年雑誌の規制が厳しくて「盗」の字がだめだったがために、怪「人」二十面相となったというくだりも面白かったです。怪二十面相と
二十面相では、受ける印象がずいぶん違いますよね!

 漫画家や映像化など他のメディアでも展開された少年探偵団シリーズ。
 藤子不二雄が『怪人二十面相』を描いていたり、ちばてつやの名前があったり、梅宮辰夫が明智役をやっていたり、新鮮な驚きがあります。田村正和の明智vsビートたけしの二十面相も見てみたい。

 乱歩による挿画の指示の紙があったなど、創作の秘話もあったりして、楽しく読みました。
 少年探偵団シリーズが好きな人はぜひお読みください。
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『ズッコケ心霊学入門』 作・那須正幹 絵・前川かずお (ズッコケ文庫)

心霊写真にまつわる奇怪な事件に、つぎつぎとまきこまれるズッコケ三人組。はたして霊魂はほんとうに存在するのだろうか!?


 オカルトというものを知るきっかけとなった作品です。

 心霊写真の流行というものが一時期ありましたよね?
 子どもの頃(昭和・平成)には、そういう特番がたくさんあった記憶があります。
 「笑っていいとも!」などでも、心霊写真を扱うコーナーがあったのではないでしょうか。
 令和の少年たちには通じるでしょうかね?


ネタバレしてます。

『あやうしズッコケ探検隊』 作・那須正幹 絵・前川かずお (ズッコケ文庫)

太平洋を漂流したすえ、無人島にたどりついたわれらがズッコケ三人組。この島には、なんとおそろしい人くいライオンがいるという。


 シリーズの中でもっとも読み返した作品です。

 今回は漂流記です。
 漂流譚は、一時期意識的に読んでいました。
 『ロビンソン・クルーソー』は当然のこと、『蝿の王』や実際に漂流をした人の体験談など、よく読みました。「生き延びるために何をすべきか」という人間の生の原点に返る魅力が、そこにはあると思います。もしも、自分が無人島に流されたら・・・というのは、よくある、そして、とても魅惑的な妄想ですよね。


ネタバレしてます。

『雪女 夏の日の夢』 ラフカディオ・ハーン作 脇明子訳  (岩波少年文庫)

明治期の日本をこよなく愛し、小泉八雲と名乗ったラフカディオ・ハーン。日本の不思議な物語を題材とした短編「耳なし芳一の話」「雪女」をはじめ、新鮮な日本の印象をつづった「東洋の土をふんだ日」などの随筆も収録。


 不思議で怖いお話エキゾチックな日本を感じられる作品集です。


ネタバレしてます。

『ラフカディオ・ハーン 日本のこころを描く』 川島弘美 (岩波ジュニア新書)

『怪談』の著者小泉八雲ことラフカディオ・ハーン。彼ほど深く日本人の心を見つめ描いた外国人はいない。ギリシア生まれの彼になぜ、14年間の日本滞在でそのようなことができたのか。彼に影響を与えた多彩な人びととのエピソードを交えながらその足跡をたどり、紀行文や日本論を読み日本を見つめ直す旅に出よう。


 小学校のときに、『怪談』を読んで以来、小泉八雲の作品が好きです。
 熊本へ旅行へ行ったときには、夏目漱石や小泉八雲の住んだ家を訪ねたりしました。

 この本を読んで驚いたのは、八雲は原話をそのまま紹介していると思っていたのですが、創作部分が多々あると知って驚きました。
 たとえば、「むじな」では単に恐ろしい顔だったのが、のっぺらぼうに変わっていたり、「耳なし芳一」の話は元の話より、かなり長くなっているということです。

 それにしても、ラフカディオ・ハーンという人は数奇な運命をたどっています。
 ギリシア、アイルランド、アメリカ、日本・・・。
 さまざまな国へ行き、さまざまな経験をした著者が最後にたどり着いたのが日本だということが、我々にはうれしいですね。

 また、日本人の妻セツさんとの仲睦まじい様子にも感動します。
 映画になりそうなお話です。

 さまざまな小説家がいますが、生き方そのものに憧れを抱く素敵な作家ですね。

プロフィール

HN:
A・T
年齢:
41
性別:
男性
誕生日:
1983/08/31
自己紹介:
ジブリとSFと児童文学とマンガが三度の飯より大好きなおじさん。

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