民話や伝承、ファンタジーやSF、児童文学や漫画など、「すこしふしぎなおはなし」に惹かれるおじさんのつぶやき。
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古代から現代にいたるまでいつの時代も「香り」は多くの人々を魅了してきました。本書では、アレクサンドロス大王を虜にした乳香、玄宗皇帝と楊貴妃に秘められた竜脳、織田信長が切望した蘭奢待、ナポレオン皇妃が愛したバラなど香りにまつわる7つの物語を紹介します。歴史の裏に香りあり…。香りでたどる魅惑の歴史物語です。
かつて、香りに関する美術館の展示に行ったことがあります。さまざまな香りを嗅いで、陶酔したり、顔をしかめたり、とっても楽しかったです。そして、一時期、部屋でアロマを焚くこともしていたので、書店で見つけるとすぐに購入してしまいました。
かつて、北原白秋などの明星派の詩人を読んでいるときに、乳香とか没薬とかいう単語がでてきて、いい香りなんだろうなあと漠然と思ったことがあります。ですが、そのときはどういったものか素通りして、まったく気にはしていませんでした。この本を読んで、これらの持つ異国への憧れみたいなものが、よく理解できるようになりました。これらは、外国産の樹脂や樹液を固めたものだったんですね。
植物製の香料というのは、いい香りがするんだろうなあ、というのはわかるんですが、動物製の香料ってどうなんだろう?と読んでて思ってしまいます。でも、「麝香」という言葉自体は有名ですもんね。ジャコウジカやジャコウネコの体内で作られるのだそうです。で、ジャコウジカの香りは「ムスク」と呼ばれる。え、ムスクってジャコウジカの香りだったの!と普通に店頭で売られている香りの中に動物製のものがあり、びっくりしました。
ほかにも驚くことがたくさん。竜涎香(アンバーグリス)は、マッコウクジラの結石で、海岸で拾得した人は、数千万円を手にしているそうです。バラ風味の巨大な1,5メートルのパイが作られているのにも驚きました。歴史の物語としては、シャネルの5番の開発秘話が一番面白かったですね。ココ・シャネルという人の生涯にも興味を持ちました。
日常の中で、さらに香りを味わう生活を送ろうかな、とまた楽しみが一つ増える本と出会いました。PR
『平家物語』は、王朝貴族社会から、中世武家社会へと大きく移り変わった時代、平家一門の人々がたどった運命を描いた語り物文学です。この本では、平清盛、知盛、祇王、俊寛、木曾義仲など10人の登場人物をとりあげ、原文にふれながら、『平家物語』の全体像と文学としての豊かさをつたえます。
1980年発行の本ですが、色褪せず面白い。
『平家物語』の代表的人物を10人とりあげて紹介していますが、どの人生も圧倒的に面白く、波乱万丈です。
かつて、すべて読んでみようと、原文での読破に挑戦し挫折した身としては、このような抄録の本はありがたい。原文を紹介しながら、その後に訳も掲載してくれて、たいへん読みやすい。原文を味わいながら、すいすいストーリーまで頭に入ってくる。そして、各登場人物のキャラクターが立ちすぎていてとっても魅力的なのです。
島流しに遭い、一人だけ島に残されてしまう僧俊寛。権力へ徹底的に反抗し、時代を動かした僧文覚。悪役平清盛。悲劇の天才源義経。
しかし、やはり一番の読ませどころは、木曽義仲の最期です。
この場面は背筋がゾクゾクするほどすばらしい!
戦が経過するにあたって少なくなっていく見方、巴御前との別れ、乳母子の今井兼平の漢気、義仲の呆気ない最期・・・。
声に出して読むことこそ、平家物語の魅力がわかるといいますが、ほんとうにここは音読して読みたくなる場面です。そうしてこの場面に参加したくなるのです。それほど、物語に入り込んでしまうのです。
「『平家物語』を読んでみようかなあ、でも長いしなあ」と一歩踏み出すのに躊躇している人には、入門書としてぜひおすすめしたい本です。
王朝の遺族たちがゆきかう平安京を舞台に、次々に起こる謎の事件、略奪、盗賊の暗躍―。芥川龍之介の小説『羅生門』の原話をはじめ、一条戻り橋の鬼や安義橋の鬼の話、不思議な犬に命を救われた子供の話など、華やかな王朝の舞台裏でうごめく「闇」の群像をあざやかに描いた『今昔物語集』の魅力にせまる。
やはり説話集は面白い。
近代文学の作家のネタ本としても使われた作品集。
生き生きと当時の人々の息遣いが感じられる古典だと思います。
「境界」をキーワードに、「門」「橋」「坂」「樹」「窓」の五章に分けて、『今昔物語集』の世界を紹介してくれる本です。
「門」の章では、よく話の出てくる「羅城門」に関連する話よりも、「達智門」で捨て子が白い犬に乳をもらって育てられている話がインパクトがありました。オチもなく、尻切れトンボのような話なのですが、こういったものを読むのも古典の魅力です。
「橋」の章では、不思議なお話が紹介されています。
鬼のつばきによって、透明人間になってしまう男の話が面白い。
こういう不思議なお話が大好きなのです。
「坂」の章では、やはり盗賊袴垂の話が強烈です。
藤原保昌と袴垂の話は、高校生の教科書などにも採択されているので、ご存知の方も多いでしょう。盗賊袴垂は、死んだふりをして近づいてきた武士を殺してしまい、物品を奪ったのちに、徒党を組んで盗賊団を形成する。このような途方もないエネルギーを見せつけられると、ほんとに「すごい」と思ってしまいます。説話集の盗賊の話は、やはり面白いですね。これは、先ごろ読んだ『古今著聞集』に出てくる女盗賊の話などを読んでも感じました。
「樹」の章では、「外術を以て瓜を食はるる語」というお話におやと思いました。不思議な術を使って瓜を増やす翁の話があるのですが、以前読んだ中国の民話に似ている。案の定、この話の原話は中国にあるということです。こういう文化的なつながりやルーツを諸外国と見つけられるのも、古典の面白さですね。
読む量がすごそうなので、原典にあたるのは尻込みしてしまうので、こういった紹介してくれる本や抄訳本などから、少しずつ原典ににじり寄っていきたいなあと思います。
学校で習う古文に興味がもてなくても、実は古典はおもしろい!オカルトあり、恋愛ありのわくわくの宝庫から、おなじみの作品をわかりやすい現代語訳で紹介。自称「古文おちこぼれ」だった国文学者が、奥深くて不思議な古典の世界の楽しみ方、文法にしばられない原文の読み方を案内します。
多くの子どもたちが「苦手」意識を持っている古文。
なぜ学校で学ぶ古文が難しくつまらないのか、というところから、この作品はこういうところが面白い、こういう作品もあるよ、と古典の面白さを伝えてくれる一冊です。
文法偏重、教育的な内容でなければならない、という学校教科書でしか古典を知らない人への、古典の魅力発信の書となっていて、これも読みたい、あれも読みたいという気にさせてくれます。
具体的には『徒然草』『百人一首』『堤中納言物語』『土佐日記』『しんとく丸』『能・狂言』という作品を紹介してくれています。
『徒然草』では、「京に鬼になった女がやってきた!」という噂話に振り回される兼好や京の人々の様子が描かれていて、面白い。強烈なオチがついている『花桜折る少将』も、笑える部分が多々ありそうでいい。
一番惹かれたのは、「説教」の章です。好きな森鴎外の「山椒大夫」は説教の作品の翻案だと読んでびっくりしました。貴種流離譚の物語「しんとく丸」は筋を読むだけでも面白い。また、近藤ようこのマンガ『説教 小栗判官』も「これは面白い!」と思った記憶があるので、ぜひ説教は読んでみたいものです。観音様が大きな役割を持って登場するのですが、この観音様の行うことがよくでたり、悪くでたりしてとても興味深いです。
古文を敬遠している人にぜひ読んでほしい本でした。
歴史を題材にした映画は、歴史上の人物や事件、風俗、習慣などを具体的かつリアルに目の前で展開し、時代や社会を生きた人間の営みを生々しく伝えてくれます。「天地創造」「風と共に去りぬ」「シンドラーのリスト」等37編を精選、ドラマから受けた感動を通して世界史に親しみ、様々な問題意識を育む画期的ガイドブック。
歴史と映画が好きなので、合わせ技のこの本を読んでみました。
映画を見る中で、歴史的背景を読んでいくことは、映画を楽しむうえでも大切なことの一つですよね。
映画を紹介する中で、その時代の社会の動き、人びとの意識が解説されていきます。
高校時代に習った世界史の知識がおぼろけに頭の表面に、深い底の方からゆらゆらと浮き上がってくる感じがします。驚異的な歴史的事実を映画化したものなどは、やはり観てみたくなりますね。
剣闘士たちの反乱を描いた『スパルタカス』は、すごく感情移入できそう。剣闘士養成所の剣士たちが、見世物のために剣を取るより、自由のために剣を取ろうと立ち上がる話です。それを聞くだけでも、気持ちが湧きたってくるようです。
また、自分がずいぶん名作と呼ばれるものを観ていないということにも気づかされました。
書物的な知識はあるものの、「チャップリンの独裁者」も「サウンド・オブ・ミュージック」もまだ観たことがありません。最近、「雨に唄えば」を再視聴し、「バンド・ワゴン」を観て感動したりしたので、オールドな名作をどんどん観て楽しまなきゃ人生損だなと思うようになりました。
覚書的に観たいなと思う作品を挙げておきます。
「ベン・ハー」
「黒豹のバラード」
「ダンス・ウィズ・ウルブズ」
「戦艦ポチョムキン」
「シンドラーのリスト」
「評決のとき」
紹介された映画の中で、見たことがあるのは『ミシシッピー・バーニング』という作品のみだったので、また、観てみたい映画が増えました。あとはそれを観る時間があればいいんだけどなあ。