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ふしぎ図書室

民話や伝承、ファンタジーやSF、児童文学や漫画など、「すこしふしぎなおはなし」に惹かれるおじさんのつぶやき。

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『平家物語を読む 古典文学の世界』 永積安明著 (岩波ジュニア新書)

『平家物語』は、王朝貴族社会から、中世武家社会へと大きく移り変わった時代、平家一門の人々がたどった運命を描いた語り物文学です。この本では、平清盛、知盛、祇王、俊寛、木曾義仲など10人の登場人物をとりあげ、原文にふれながら、『平家物語』の全体像と文学としての豊かさをつたえます。


 1980年発行の本ですが、色褪せず面白い。
 『平家物語』の代表的人物を10人とりあげて紹介していますが、どの人生も圧倒的に面白く、波乱万丈です

 かつて、すべて読んでみようと、原文での読破に挑戦し挫折した身としては、このような抄録の本はありがたい。原文を紹介しながら、その後に訳も掲載してくれて、たいへん読みやすい。原文を味わいながら、すいすいストーリーまで頭に入ってくる。そして、各登場人物のキャラクターが立ちすぎていてとっても魅力的なのです。

 島流しに遭い、一人だけ島に残されてしまう僧俊寛。権力へ徹底的に反抗し、時代を動かした僧文覚。悪役平清盛。悲劇の天才源義経。
 
 しかし、やはり一番の読ませどころは、木曽義仲の最期です。
 この場面は背筋がゾクゾクするほどすばらしい!
 戦が経過するにあたって少なくなっていく見方、巴御前との別れ、乳母子の今井兼平の漢気、義仲の呆気ない最期・・・。
 声に出して読むことこそ、平家物語の魅力がわかるといいますが、ほんとうにここは音読して読みたくなる場面です。そうしてこの場面に参加したくなるのです。それほど、物語に入り込んでしまうのです。

 「『平家物語』を読んでみようかなあ、でも長いしなあ」と一歩踏み出すのに躊躇している人には、入門書としてぜひおすすめしたい本です。
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プロフィール

HN:
A・T
年齢:
40
性別:
男性
誕生日:
1983/08/31
自己紹介:
ジブリとSFと児童文学とマンガが三度の飯より大好きなおじさん。

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