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ふしぎ図書室

民話や伝承、ファンタジーやSF、児童文学や漫画など、「すこしふしぎなおはなし」に惹かれるおじさんのつぶやき。

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『少年少女古典文学館13 古今著聞集ほか』 阿刀田高

王朝貴族社会をなつかしみながら、中世の人事百般や鳥獣、虫、妖怪にまで筆がおよび、整然と分類された説話の百科事典ともいえる『古今著聞集』。「少年の教科書」として読みつがれ、簡明でおもしろい教訓の宝庫である『十訓抄』。そして『沙石集』は、狂言や落語にまで影響をあたえ、仏教書としてはめずらしく、笑いと人間味にあふれている。


 子ども向けに平易な文で書かれていて、しかも語釈や語注が充実しているよい古典の本です。すべて現代語訳されていて、現代風にアレンジされているところもあり、子どもが古典に興味を抱く助けになる本だと思いました。

 説話文学というのは、テレビでいえば「奇跡体験アンビリーバボー」みたいなものだと思うのです。こんなできごとがあったらしい!ということを民間に流布している話を再話するという意味では共通部分があると思います。

 そういう意味で、よく外国の犯罪事件が取り上げられているように、『古今著聞集』にも犯罪の話があって、面白いです。特に女盗賊の登場する「美しい盗賊」はミステリー要素もあり、犯人の意外性といい、とても印象に残る話となっています。相撲取りに稽古をつけてあげる力持ちの女の人もいたり、魅力的な人物が説話集には多いですね。

 『十訓抄』で印象に残るのは、強盗に家のものを取られたのに、強盗が落としていった盗品をわざわざ届けてあげる尼の話です。何度読んでもすごい性格してるなあと感心してしまいます。
 こちらの本にも尼僧を首領とする盗賊が現れていて、面白いですね。

 どの本にも人間味を感じるお坊さんたちがいて、現代よりも寺社というものが身近だったのだなあと感じます。子どもに教訓を説いたお話ということで、ユーモアたっぷりに描かれているものもあり、たいへん楽しめる一冊でした。
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プロフィール

HN:
A・T
年齢:
40
性別:
男性
誕生日:
1983/08/31
自己紹介:
ジブリとSFと児童文学とマンガが三度の飯より大好きなおじさん。

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