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ふしぎ図書室

民話や伝承、ファンタジーやSF、児童文学や漫画など、「すこしふしぎなおはなし」に惹かれるおじさんのつぶやき。

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『今昔物語集の世界』 小峯和明著 (岩波ジュニア新書)

王朝の遺族たちがゆきかう平安京を舞台に、次々に起こる謎の事件、略奪、盗賊の暗躍―。芥川龍之介の小説『羅生門』の原話をはじめ、一条戻り橋の鬼や安義橋の鬼の話、不思議な犬に命を救われた子供の話など、華やかな王朝の舞台裏でうごめく「闇」の群像をあざやかに描いた『今昔物語集』の魅力にせまる。


 やはり説話集は面白い。
 近代文学の作家のネタ本としても使われた作品集。
 生き生きと当時の人々の息遣いが感じられる古典だと思います。

 「境界」をキーワードに、「門」「橋」「坂」「樹」「窓」の五章に分けて、『今昔物語集』の世界を紹介してくれる本です。

 「門」の章では、よく話の出てくる「羅城門」に関連する話よりも、「達智門」で捨て子が白い犬に乳をもらって育てられている話がインパクトがありました。オチもなく、尻切れトンボのような話なのですが、こういったものを読むのも古典の魅力です。

 「橋」の章では、不思議なお話が紹介されています。
 鬼のつばきによって、透明人間になってしまう男の話が面白い。
 こういう不思議なお話が大好きなのです。

 「坂」の章では、やはり盗賊袴垂の話が強烈です。
 藤原保昌と袴垂の話は、高校生の教科書などにも採択されているので、ご存知の方も多いでしょう。盗賊袴垂は、死んだふりをして近づいてきた武士を殺してしまい、物品を奪ったのちに、徒党を組んで盗賊団を形成する。このような途方もないエネルギーを見せつけられると、ほんとに「すごい」と思ってしまいます。説話集の盗賊の話は、やはり面白いですね。これは、先ごろ読んだ『古今著聞集』に出てくる女盗賊の話などを読んでも感じました。

 「樹」の章では、「外術を以て瓜を食はるる語」というお話におやと思いました。不思議な術を使って瓜を増やす翁の話があるのですが、以前読んだ中国の民話に似ている。案の定、この話の原話は中国にあるということです。こういう文化的なつながりやルーツを諸外国と見つけられるのも、古典の面白さですね。

 読む量がすごそうなので、原典にあたるのは尻込みしてしまうので、こういった紹介してくれる本や抄訳本などから、少しずつ原典ににじり寄っていきたいなあと思います。
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プロフィール

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A・T
年齢:
40
性別:
男性
誕生日:
1983/08/31
自己紹介:
ジブリとSFと児童文学とマンガが三度の飯より大好きなおじさん。

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