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ふしぎ図書室

民話や伝承、ファンタジーやSF、児童文学や漫画など、「すこしふしぎなおはなし」に惹かれるおじさんのつぶやき。

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『最初の舞踏会 ホラー短編集3』 平岡敦編訳 (岩波少年文庫)

好評クラシックホラー傑作選、フランス編。残酷な童話のような味わいのカリントンの表題作をはじめ、ペロー、ルブラン、メリメ、モーパッサン、シュペルヴィエルらによる、不気味で美しい短編15編。本邦初訳2編をふくむ、全編新訳。


 面白かった!
 フランスのホラー短編集。文豪の作品もあり、勉強にもなりました。





◎シャルル・ペロー「青ひげ」
 財産家の「青ひげ」と結婚した娘は、青ひげの旅のさ中に、開けてはいけないと言われた部屋のドアを開けてしまう・・・。

 何度読んでもこわい。ドキドキする。救出のタイミングが抜群です。


〇テオフィル・ゴーティエ「コーヒー沸かし」
 田舎の屋敷に泊まった「ぼく」。夜中に絵から人が抜け出てきて・・・。

 古い恐怖小説ではよくある話型なのでしょうか。
 絵から人が飛び出てくるという話は好きですねえ。

〇ギ・ド・モーパッサン「幽霊」
 サミュエル侯爵の語る若い日の回想。妻を亡くした友人に、部屋から忘れ物を取ってきてほしいと頼まれたのだが・・・。

 典型的な幽霊譚という感じ。ショートショート並みの長さですが、読みごたえあります。

◎ジュール・シュペルヴィエル「沖の少女」
 水面に浮かぶ不思議な村。その中で少女はたった一人暮らしている。

 幻想的でホラーとは言いがたい、夢想的な作品。
 このイメージは、海の半透明の青とともに頭の中に妙に印象に残ります。インパクトだけでいえば、この作品が一番濃かったです。


△レオノラ・カリントン「最初の舞踏会」
 舞踏会が嫌いな「わたし」は動物園で知り合ったハイエナに代わりに出てもらうことにするが・・・。

 ブラックユーモアの作品ですが、悪趣味すぎて趣味に合わなかったなあ。表題作にもなっているので、訳者はこの作品を推しているのでしょうけれど。

◎ギヨーム・アポリネール「消えたオノレ・シュブラック」
 オノレ・シュブラックはひとつの特技を持っていた。それは周囲に擬態し、壁に一体化してしまえること・・・。

 これは面白かった。周囲への擬態能力を間男をしているときに身につけてしまった男の悲劇です。敵役に追いかけられるときなどは、ドタバタコメディの要素も感じられ、不思議な味の作品となっています。

☆マルセル・エーメ「壁抜け男」
 デュティユールは登記局の三等書記官。ある時、彼は壁を抜けられるようになった自分に気づく。

 前の作品に続く特殊能力を持った男の話なのですが、壁抜け能力を持った男が行うのが、怪盗ルパンみたいな盗みでとっても面白い。警察を小馬鹿にしたどでかい事件を起こしたりするのですが、因果応報にも思えるラストも好き。有名な作品だと思うのですが、そうなるのも納得な出来栄えです。

○モーリス・ルヴェル「空き家」
 空き家のはずのその家に忍び込んだ空き巣。彼が目にしたものとは・・・。

 恐怖小説です!という感じの作品。ただ、驚きは薄かったかな。

×アルフォンス・アレー「心優しい恋人」
 恋人が訪ねてきた。しかし、暖を取るものがなかったので、彼は・・・。

 生理的にちょっと受け付けなかった。グロは苦手です。

◎エミール・ゾラ「恋愛結婚」
 妻とその友人が恋仲になり、夫を殺すこととなった。首尾よく計画は成功し、彼らは結婚したが・・・。

 二人の関係の崩れて行き方が、子細に描かれており、とてもよかった。犯した罪に耐えられず二人が病んでいくようすに、少しざまあみろと思ってカタルシスがありました。

○モーリス・ルブラン「怪事件」
 元検事の語る怪事件。まったく不可解な事件で・・・。

 ミステリ的展開を逆手にとった作品。少しニヤリとしてしまいました。

○アンドレ・ド・ロルド「大いなる謎」
 岬の端に建つ家の主人は死んだはずの妻が毎夜来るのだと主張した。

 死んだ妻が来るということの真相を調査する語り手。その合理的な思考が謎解きで楽しいのですが、不合理なできごとがふりかかるラストは彼も予想できなかったんだなあ。

×ボワロー・ナルスジャック「トト」
 ジョルジュはトトの世話にうんざりしていた。

 うーん、ちょっとなにか倫理的に許せない気がする作品です。

○ジャン・レイ「復讐」
 父親を殺し、寝室の床下に埋めたルークス。そこからコツコツという音が聞こえだして・・・。

 どこかで読んだ記憶のある作品。しかし、最後に生物たちが現れるシーンが良い。直接的な描写はなく、残酷なシーンは想像させるだけの上品さもグッドです。


○プロスペリ・メリメ「イールの女神像」
 旅先の地で資産家が手に入れた女神像を見せてもらった私。しかし、その女神像は美しいが邪悪な顔つきをしていた。

 これも因果応報譚みたいな話です。これも直接的なシーンは見せずに、目撃した人物に語らせているところなどが、信憑感などが増して小説としていい作りになっていると思います。「ポーム」という競技もどのような競技か気になりました。
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プロフィール

HN:
A・T
年齢:
41
性別:
男性
誕生日:
1983/08/31
自己紹介:
ジブリとSFと児童文学とマンガが三度の飯より大好きなおじさん。

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