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ふしぎ図書室

民話や伝承、ファンタジーやSF、児童文学や漫画など、「すこしふしぎなおはなし」に惹かれるおじさんのつぶやき。

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『おもしろくてやくにたつ子どもの伝記16 手塚治虫』国松俊英文

「鉄腕アトム」「ジャングル大帝」など、手塚治虫がうみだしたマンガは七百あまり。手塚治虫の作品には、いのちをたいせつに思う気持ちと、未来への夢がたくさんつまっています。クイズつきで手塚治虫の秘密がわかります。


 「マンガの神さま」手塚治虫の伝記です。

 家にマンガ本がたくさん置いてあったり、手回しの映写機を買ってもらったりと、かなり裕福な家に育った手塚治虫。環境が人を作ったんだなあとこれを読んで思います。

 火星人の絵を描いていたり、天文学に夢中になったり、後にSFを描く素養も幼い頃に育っています。有名なオサムシのことを知ってペンネームに「虫」をつけたエピソードやヒゲオヤジのモデルは今中くんのおじいさんがモデルだったなど、すでに小学生の頃に、後のマンガの仕事につながることが出てきていることに驚きです。

 腕を切除しないといけないほどのできものができ、それから回復したことをきっかけに医者を目指します。解剖も実際にやるなど、これも後の「ブラックジャック」を描くことにつながりますよね。そして、医者へはならなかったけれども、マンガを描きながら医学博士の免許をとってしまうというところにも強靭な意志の強さを感じます。

 また、上京時のトキワ荘のエピソード、また負けず嫌いすぎて「イガグリ君」をくさしてしまい謝罪するなどのエピソードも人間味が溢れすぎていて大好きです。病床にあってさえマンガを描こうとしたものすごいマンガ愛。「神さま」と呼ばれるべくして呼ばれていると思いました。

 一方でアニメーションに対する情熱もものすごく、「バンビを80回見た」とか、国産初のテレビアニメ(「鉄腕アトム」)を作ってしまうとか、伝説エピソードに事欠かない人ですね。ウォルト・ディズニーと話をする場面では、他人ながら「よかったねえ」と思わずにっこりしてしまいました。

 伝記を読むと、その人のすさまじい一生に憧れてしまいます。
 僕のような凡人にはできない生き方が凝縮されていてすばらしかったです。
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『飛行艇時代[増補改訂版]』宮崎駿(大日本絵画)

映画「紅の豚」の原作である「飛行艇時代」や飛行機の解説、監督へのインタビューなどで構成されたムック本。

 『宮崎駿の雑想ノート』から映画の原作である「紅の豚」を抽出した一品。
 元々は大塚康生さんの紹介で模型雑誌に連載されていたこともあり、飛行機の模型を作成する様子だったり、飛行機史が掲載されていたり、飛行機関係にマニアックな本となっています。

 原作と劇場版アニメーションとの比較を行っていたり、コアなファンには楽しいのではないでしょうか。模型雑誌だけに機体の特集だとか、専門用語だらけで難しいところはあります。

 劇中のセリフでカーチスの機体が「シュナイダーカップ」で云々というところがあったと思いますが、そのシュナイダー杯や飛行艇史の詳細が載っていて、史実だったんだ・・・と驚きがあります。

 また、『雑想ノート』の自作解説もあり、「そういう作品あったねえ」という気分にもなりました。「多砲塔の出番」はぜひアニメーションで見てみたいです!

 宮崎さんの言葉で、「作った人間の葛藤とか、それを作らせた国の経済とか技術水準とか、頑固さとか先進性とか、それを作った人間の作戦苦闘とか歓喜とかいうのを空想しないと飛行機の面白さというのは本当にはわからないと思うんですよ。」という言葉があって、ああ、まんま「風立ちぬ」だなと思いました。そういえば、飛行機史の中では「カプロニ」という名のついた機体も載っていました。

 ポルコ・ロッソの愛機サボイアS21は、小学生の時に見た1枚の写真を元にしたということで、すごい記憶力と再現力だなあと思います。本編でカットされたシーン(ジェット機を追い抜くサボイアとコクピットにいるちょっとシュッとした人物)のセル画もあり、ちょっと興奮。
 また、島尾敏夫の「出発は遂に訪れず」をアニメーションにできないかと考えてきたというのを読んで、作りたいものがたくさんある人だなあと、また驚かされてしまいました。

『第四惑星の反乱』R・シルヴァーバーグ:作/中尾明:訳(SFロマン文庫1)

宇宙バトロール軍士官候補生ラリー・スタークは、練習生として宇宙練主戦カーデン号に搭乗し、アルファC第四惑星を目指していた。アルファCに到着したものの、そこでは植民地政策に反対した現地人が、革命を起こそうと激しい動きを見せていた・・・。


 R・シルヴァーバーグのデビュー作。しかも、少年向けのもので、非常に面白かった。

 読んでいて何を一番に連想したかというと、『機動戦士ガンダム』です。
 行政官を送り込み植民地を支配しようとする地球、課税などに苦しみ植民地支配からの解放を目指す惑星たち・・・。

 父が宇宙パトロール軍の司令官である主人公のラリー。
 これまで受けた教育から、彼は地球を信奉していますが、途中からどちらが正しいかわからなくなってしまいます。アメリカの作家だから、当然、植民地側につくのだろうなと思っていましたが、単純にそんな話ではないところがこの物語のすごいところです。

 宇宙パトロール軍に入るという自分個人の夢と世間の状況の食い違いにラリーは悩みます。そして、地球と植民地でいえば、どちらかというと地球が間違っている。でも、植民地側につけば自分の夢はかなわない。自分はどちらを選択すればいいんだという葛藤に中盤から後半にかけては、ずーっと苛まれているのです。

 少年の成長物語というのがテーマとしてあって、最終的にラリーは「なにごともじぶん自身で判断をくだし、じぶんで行動しなければならない」という父の教えを思い出し、けして自分は間違っていないと思うのです。これまで自分が教わってきた既成の価値観を盲目する人間から、一歩踏み出して自分の責任でものごとを決定していく「大人」へ彼は歩み出したのです。

 最後に混迷する社会に放り出されるラリーですが、この後の彼の人生を想像しながら読者はこの本を置くことでしょう。それは、19歳でこの物語を書いたというシルヴァーバーグの気持ちそのものだったに違いありません。

 さて、この本はSFロマン文庫という叢書の1冊目です。すてきな作品がまだまだありそうなので、また読んでみたいと思います。

『ねじれた町』眉村卓 (SFベストセラーズ)

父の転勤でQ市へ越してきた和田行夫。引っ越したその日、はがきを出そうと出歩いていた行夫が偶然出会った女の子に案内された方向へ行くと、そこはなんだかようすがおかしくて・・・。


 意志の力が現実に反映してしまう奇妙な街へ越した少年が主人公です。
 ここまで読んできたSFベストセラーズのシリーズの中では、もっとも入りこめた作品かもしれません。冒頭の出した手紙が明治時代から、友人の家に受け継がれていて、それを手渡されるというところには惹きこまれます。

ネタバレしてます。

『夕ばえ作戦』光瀬龍(SFベストセラーズ)

スポーツと機械いじりの好きな中学生砂塚茂は、古道具屋で奇妙な円筒を見つける。それを購入した帰り道、円筒のつまみをいじっていると、彼は江戸時代へタイムスリップしていた!そして、伊賀忍者と風魔忍者の戦いに巻き込まれていくこととなる・・・。


 江戸時代の忍者の戦いに、現代の中学生が挑む!
 タイムスリップして、昔の人と戦うというテーマは、今でも使われる一つのパターンですよね。
 現在公開中の「ブレイブ‐群青戦記‐」も高校生vs戦国武将という作品です。


ネタバレしてます。

プロフィール

HN:
A・T
年齢:
40
性別:
男性
誕生日:
1983/08/31
自己紹介:
ジブリとSFと児童文学とマンガが三度の飯より大好きなおじさん。

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