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ふしぎ図書室

民話や伝承、ファンタジーやSF、児童文学や漫画など、「すこしふしぎなおはなし」に惹かれるおじさんのつぶやき。

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『少年探偵 悪魔人形』 江戸川乱歩 (ポプラ文庫クラシック)

ふたりの少女・ルミとミドリは公園で不思議な老人と男の子に出会う。男の子は、精巧に作られた腹話術の人形だった。すっかり人形に魅せられたルミは、ミドリの止めるのも聞かず、老人の家へついていってしまう。ルミがそこで見た恐ろしいものとは…。


 人形。愛らしいと思うこともあれば、怖いと思うこともある、そんな存在です。
 僕の家に日本人形と西洋人形の間をとったような人形がリビングに置いてあって、夜中に起きてその部屋に行ったりすると、とっても怖かったのを思い出します。

 この少年探偵シリーズでは怪しい老人が活躍することが多いのですが、ルミちゃんはこの怪しい老人についていってしまうのです。白髭のおじいさんというと仙人のようで、いかにも不思議な妖術を使いそうなイメージですものね。腹話術を使い、公園の外に自動車を待たせているおじいさん。もう、誘拐する気まんまんです。


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ネタバレしてます。

『少年少女古典文学館3 落窪物語』 氷室冴子 (講談社)

『落窪物語』は、早くに母を失った姫君が、継母にいじめられ、苦労しながらも、やがてすばらしい貴公子とめぐりあい、幸せを得る物語である。このストーリーの基本的なパターンは、シンデレラに代表されるが、古来、世界各地で作られ、今に語り継がれている。平安時代に書かれたこの物語も、みやびな恋物語というより、生身の人間の喜怒哀楽を興味深く描いた大衆文学として、長く読み継がれ、語り継がれてきたロングセラー小説の一つである。


 いやあ、面白い。
 継子いじめのお話ですが、ジメジメはしておらず、カラッとした印象に思えました。
 挿画は、三木由記子さん。なつかしくてあったかい絵だなあと思っていたら、クレヨン王国シリーズの挿画を描いていた方でした。

 前半、娘のうちに数えられず、姉妹のために縫物ばかりさせられている落窪の君がかわいそうでなりません。唯一の味方である阿漕という女房が非常によいキャラクターで、落窪の君を助けてくれるのですが、この子の行動力がなければ、姫の境遇は変わらなかったでしょう。姫にもそんな周囲を動かすほどの性格のよさがあったのでしょうね。

 ヒロインの姫君はあまり行動的でもなく、ずっと受動的な立場を取り続けているので、周囲の人々の活躍が肝になります。平安時代の理想の姫君というのは、こういった感じなのでしょうか。夫となる右近の少将や帯刀らの活躍、弟である三郎君の手助けなど、姫君ではなく、周囲の活躍が姫君を幸せにしていくのです。

 北の方という敵役のキャラクターも際立っていて、ひどい目にあった後でも、こりないというところに軽いショックを受けました。どこまでもぬけぬけとしていて、ここまで突き通せばなんだか逆に好きになってしまいそうなぐらいです。その憎々しいキャラクターとともに、なんだか人間的なかわいらしさみたいなものも垣間見える奥深いキャラクター造形になっていると思いました。

 夫の右近の少将の仕返しのやり口は、なんだか子どもじみていて、好きにはなれませでしたが、地券をたてにお屋敷を取り上げるところなど、前半を耐え抜いた後の、後半の復讐にはやはりスカッとするところがありました。

 同じような系譜の物語もあるということで、ぜひこれらも読んでみたいと思いました。

『SFセレクション7 未来世界へようこそ』 赤木かん子編 (ポプラ社)

井本由紀、小松左京、さねとうあきら、カート・ボネガット、フレドリック・ブラウンなど、パラレルワールドを描く短編を収録。


 未来世界をテーマにしたアンソロジー。
 そして、編者は「癒しと再生」がテーマだとあとがきで書いています。
 表紙や挿画は漫画家の遠藤浩輝で、SFテーマのアンソロジーにはぴったりだと思いました。

 これで、このアンソロジーシリーズはすべて読破。
 次はなにを読もうかなあと思案しています。


ネタバレしてます。

『SFセレクション4 科学者たちの陰謀』 赤木かん子編 (ポプラ社)

福島正実、大海赫、エルサ・ベスコフ、手塚治虫、、E.ハミルトン、ジョン・テインなど、マッド・サイエンティストの物語。


 マッドサイエンティスト。すてきな響きです。
 頭の中に浮かんでくるのは、則巻千兵衛とか岸和田博士とか、マンガのキャラクターが多いですが。


ネタバレしてます。

『スタジオジブリ作品関連資料集Ⅰ』 スタジオジブリ責任編集 (徳間書店)

映画がスクリーンに映し出されるまでの膨大な資料の数々。もう一つの「風の谷のナウシカ」と「天空の城のラピュタ」。


 今回は「風の谷のナウシカ」と「天空の城ラピュタ」です。
 どちらも、幼い頃の記憶に刻み込まれている作品です。

 「ナウシカ」の新聞での評を読むと、何度も「女性原理の優位」なる言葉が登場します。
 この時代の思潮なのだろうなと思いながら読みました。時代の色が鮮明に表れていて面白いです。久しぶりに原作版が読みたくなってしまいました。

 「ラピュタ」では、小説版の挿画がカラーで見開き1ページに並べられており、小説版も熱心に読み込んだ身としては、とてもうれしいところ。
 また、タイアップ商品の「ライトフルーツソーダ 天空の城ラピュタ」は、ぜひ飲んでみたかった・・・。公開当時、僕は3才。きっと、口にしたことはないでしょう。
 関連出版物に掲載されている「天空の城ラピュタ大百科」も読んでみたいなあ。関連出版物には掲載されていないものの、アニメージュ文庫で「ラピュタ」のゲームブックがあったような気がするのですが、記憶違いでしょうか?それとも、なかったことにされてるのかな?
 新聞記事では、四方田犬彦のラピュタ評が一番読みごたえがあって面白かったです。
 また、「ヤングジャンプ」の記事のプレゼントコーナーで「ラピュタノベルティプレゼント」として、Tシャツやステッカーなどが掲載されているのですが、めっちゃほしい!と思ってしまいました。

 子どものときの衝撃というのは、なかなか忘れられないもので、未だに「ナウシカ」と「ラピュタ」に魅了され続けている僕。関連情報、資料を追ってしまうのもファンの性ですよね。それだけにこの本はたまらない1冊でした。

プロフィール

HN:
A・T
年齢:
40
性別:
男性
誕生日:
1983/08/31
自己紹介:
ジブリとSFと児童文学とマンガが三度の飯より大好きなおじさん。

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