ふたりの少女・ルミとミドリは公園で不思議な老人と男の子に出会う。男の子は、精巧に作られた腹話術の人形だった。すっかり人形に魅せられたルミは、ミドリの止めるのも聞かず、老人の家へついていってしまう。ルミがそこで見た恐ろしいものとは…。
人形。愛らしいと思うこともあれば、怖いと思うこともある、そんな存在です。
僕の家に日本人形と西洋人形の間をとったような人形がリビングに置いてあって、夜中に起きてその部屋に行ったりすると、とっても怖かったのを思い出します。
この少年探偵シリーズでは怪しい老人が活躍することが多いのですが、ルミちゃんはこの怪しい老人についていってしまうのです。白髭のおじいさんというと仙人のようで、いかにも不思議な妖術を使いそうなイメージですものね。腹話術を使い、公園の外に自動車を待たせているおじいさん。もう、誘拐する気まんまんです。
おじいさんに連れて行かれた先は西洋館。
パターンに入っています。
途中、腹話術の人形が歩いたり、生きたまま人形にすると老人におどされたりします。
そして、ルミちゃんの家にはルミちゃんと瓜二つの人形が送られてくるのです。
ここらで小林君が登場し、
女装して西洋館に忍び込みます。
しかし、老人に見つかってしまい、箱の中に閉じ込められます。不思議なことに老人がもう一人現れたり、そいつが火を放ったりして、たいへんな騒ぎとなります。
今度は少年探偵団の団員の家が狙われます。売りつけられた人形が夜な夜な動き回り、家宝の「ほのおの宝冠」を奪おうとしているようなのです。少年探偵たちは、家の周囲を警戒し、泥棒に備えるのでした。一時、家宝は奪われてしまうものの、マユミさんやポケット小僧は、相手のアジトを突き止めます。しかし、
ロボに襲われたり、
地底のジャングルに放り込まれたり、一転ピンチに陥ります。
ジャングルではゴリラに襲われますが、猿の軍団が助けに入ります。
一匹の猿が、「ぼく小林です。」と名乗ります。探偵団員が助けにきたのです。その後、犯人たちの集団に取り巻かれピンチになりますが、ポケット小僧がおなじみの中村警部たちを引き連れやってきます。
しかし、犯人には最後の手段のトラがいました。トラに襲いかかるよう指示する犯人。しかし、あべこべにトラは犯人に襲いかかるのです。このトラは明智探偵の指示で人がトラに化けていたのです。
高笑いをする明智探偵。明智探偵も二十面相に負けず劣らず子どもっぽいし、狂気じみていますよね。この後、二十面相はあっけなく捉えられジ・エンド。今回も少年探偵団の勝利に終わりました。
後半は
カオスの展開ですが、冒頭に書いたように、人形というものの怖さをよく捉えた作品ですし、前半はなかなかホラーとして子どもの心に
トラウマを植え付けるのではないかと思いながら読みました。次を読むのも楽しみです。
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