忍者ブログ

ふしぎ図書室

民話や伝承、ファンタジーやSF、児童文学や漫画など、「すこしふしぎなおはなし」に惹かれるおじさんのつぶやき。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

『少年探偵 灰色の巨人』 江戸川乱歩 (ポプラ文庫クラシック)

東京のデパートの宝石展で、「志摩の女王」という真珠の宝塔が盗み出された。 盗み出した泥棒は、アドバルーンで大空へと逃げてゆく。 そして今度は、「灰色の巨人」と名乗る怪人が、「にじの宝冠」を盗み出す。 次々と起こる怪事件に少年探偵団が挑む!


 毎回、お宝の描写を読むのが好きです。
 今回は「志摩の女王」というお宝。「黄金仮面」であのルパンが盗み出したとされる宝石です。
 今回も鮮やかな(?)手口でお宝は盗まれていきます。

 犯人はアドバルーンで空中に逃れていきました





 この手口は・・・とすでに10作以上も読んでいる読者ならわかります。
 ダミーの人形に握らせてある封筒には、宝石を盗む予告の挑戦状が入っていました。
 この手口は・・・と誰もが思います。

 さて、次に登場するお宝は「にじの宝冠」です。
 探偵団のお父さんが所有しているのですが、秘宝を所有している探偵団員のお宅が多すぎです。チンピラ別働隊との貧富の差に、なにか社会の格差を感じて怒りがわいてくるぐらいです。

 さて、サーカスに犯人がいるのではないかという話となり、少年探偵団はサーカスに人員を送り込みます。その騒ぎの最中にゾウが町中に逃げ出して、さらなる大騒ぎを呼びます。巨大な動物が町中を歩くというのも、乱歩の小説のパターンですよね。

 さて、犯人たちは、サーカスの大玉の中に隠れたり、熊の着ぐるみを着たり、神社の狛犬に化けたりしています。この手口も、以前の巻に出てきますから、もう犯人が誰かは自然と想像されますよね。

 「にじの宝冠」の所有者の息子園井君が、さらわれてしまうのですが、これまた小林君がどこかで使った、コールタールを入れた缶を犯人の車に取り付ける手口で、犯人を追い詰めます。ただ、今回はシャーロックという探偵犬を使って追跡するという目新しさがありました。

 結局、「灰色の巨人」という謎の言葉の意味は、賊の首領が隠れ家にしている巨大な観音像のことだとわかりました。こんな風に、チラチラとヒントを与えて、自分に注目させたいという目立ちたがり屋の犯人像が浮かび上がってきます。

 最終的に犯人は、仏様の頭の上から、ヘリコプターで逃亡しようとします。空中に逃げるこの犯人の特徴に明智探偵もすでに気づいていました。首領の部下に化けて、ヘリコプターの運転をする明智は「空中に逃げるのは、首領のくせですからね。」と指摘しています。
 もちろん、その首領というのは、二十面相なのです。明智が警視庁の中庭に着陸したところで、二十面相もジ・エンド。シリーズの中でも、派手な逮捕の仕方で物語を終えました。

 これまでのシリーズの手法をこれでもかと踏襲した、これぞ少年探偵団シリーズという作品になっていると思います。なお、今回の挿画は武部本一郎さん。SF作品のカバーなどを多く手がけられている方で、味わい深い挿画となっております。
PR

コメント

コメントを書く

お名前:
タイトル:
文字色:
メールアドレス:
URL:
コメント:
パスワード:   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

プロフィール

HN:
A・T
年齢:
41
性別:
男性
誕生日:
1983/08/31
自己紹介:
ジブリとSFと児童文学とマンガが三度の飯より大好きなおじさん。

カテゴリー

最新記事

RSS

リンク

P R