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ふしぎ図書室

民話や伝承、ファンタジーやSF、児童文学や漫画など、「すこしふしぎなおはなし」に惹かれるおじさんのつぶやき。

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『少年探偵 透明怪人』 江戸川乱歩 (ポプラ文庫クラシック)

町はずれの廃墟に、ろう仮面の紳士が入っていった。後をつけていた少年探偵団員二人の目の前で上着とシャツをぬいだその男は、なんと透明人間だった!目に見えない透明怪人が連日事件を引き起こし、東京中を震え上がらせる。怪人の出現に、明智探偵と少年探偵団は…。


 今回は透明怪人の登場です。

 そして、別名を空気男というのです。
 ネーミングセンスがすばらしいですね。





 さて、怪人が登場すれば、犯人はもう予想がつくというものです。
 透明人間が世間を驚かし、そして、とびきり高価な財宝を盗んでいく。

 二十面相の隠れ家として、元は防空壕だったという横穴が登場しますが、時代を感じますね。
 『透明怪人』は1951年の連載で、戦後6年目という時代性がそこかしこに見られます。チンピラ別働隊も、時代が産み落としたものなのでしょう。しかし、70年近く経っても面白いというのはすごいなあ。

 今回は、明智探偵、文代さん、夫婦そろってさらわれることになっています
 「ことになっています。」というところがミソで、読者もなかばわかりきってここは読んでいると思いますが、やはりこれも明智探偵の罠なのです。前回同様の罠にはまってしまう二十面相の気持ちやいかに。

 さて、今回の話では、明智探偵に印象的なセリフがあります。
 探偵という仕事はこういったものだという明智の面白い見方です。

 「しばいのぶたいを、客席のほうから見たのと、がくやの裏のほうから見たのとでは、ひじょうな、ちがいがあります。」「(略)探偵はけっして客席からは見物しません。いつもがくやのほうから裏がわを見ているのです。」

 なんて、かっこいいんだ。
 ちなみに、犯人の動機については、このように言っています。

 「この犯人は、せけんの人をビックリさせたかったのです。子どもが、しょうじのかげに、かくれていて、むこうから来た人をバアと言っておどかす、あの気持ちを大きくしたようなものです。」

 なんて、かっこわるいんだ。

 さて、二十面相は捕えられますが、次の作品では、けっこうカッコイイ我らの二十面相が、名称を新たにして帰ってきます。ご期待ください。
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プロフィール

HN:
A・T
年齢:
41
性別:
男性
誕生日:
1983/08/31
自己紹介:
ジブリとSFと児童文学とマンガが三度の飯より大好きなおじさん。

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