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ふしぎ図書室

民話や伝承、ファンタジーやSF、児童文学や漫画など、「すこしふしぎなおはなし」に惹かれるおじさんのつぶやき。

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『みどりのゆび』 モーリス・ドリュオン作 安東次男訳 (岩波少年文庫)

裕福に暮らすチト少年は、お父さんが兵器を作る人だったことを知り、驚きました。じぶんが不思議な〈みどりのゆび〉をもっていることに気づいた少年は、町じゅうに花を咲かせます。チトって、だれだったのでしょう?


 美しい物語です。

 そして美しい挿画が物語を彩ります。

 この一冊は「おすすめ」ではなく、「必読」だと思いました。
 読まないと損ですよと世の人に声をかけたくなる一冊です。





 裕福な兵器工場の息子として生まれたチト。

 美しいおとうさんにおかあさん。ヴェルサイユ宮殿のような家に、召使いたち。庭で飼われている馬たち。なに不自由ない生活の中、初めての挫折は学校でした。
 どうしても授業になると眠り込んでしまい、学校から見放されてしまいます

 そこで、本からではない実際のものごとを学ぶための最初の授業が、「庭の授業」でした。
 チトは自分の才能を発見します。それが「みどりのゆび」でした。
 チトのおやゆびにふれれば、どんな種でもたちどころに花を咲かせるのです。

 チトは世の中を見るにつれて、納得ができないことをいくつも見つけます。
 刑務所、貧民街、病院、動物園・・・・・・。ミルポワルの町に「みどりのゆび」で花を咲かせることで、チトは人々を不幸から救っていきます

 そして、チトは最大に納得できないことを見つけます。
 それは「戦争」でした。バジー国とバタン国の戦争に、自分の父親が経営している兵器工場の兵器が使われていることを知り、チトはショックを受けます。チトはある決心をするのでした。

 それは、兵器に花を咲かせることでした。
 花を咲かせることで、戦争を阻止する
 すてきな夢じゃないですか。

 そして、さいごも夢のような終わり方をしていきます。
 「詩的な童話」と「訳者のことば」で表現されていますが、この言葉ほどこの物語を体現している評価はないと思います。最後まで夢心地で読み終わることができました。

 まだ読んだことのない方はぜひ。繰り返し書きますが「必読の書」だと思います。
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プロフィール

HN:
A・T
年齢:
41
性別:
男性
誕生日:
1983/08/31
自己紹介:
ジブリとSFと児童文学とマンガが三度の飯より大好きなおじさん。

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