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ふしぎ図書室

民話や伝承、ファンタジーやSF、児童文学や漫画など、「すこしふしぎなおはなし」に惹かれるおじさんのつぶやき。

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『注文の多い料理店 イーハトーヴ童話集』 宮沢賢治作 (岩波少年文庫)

〈すきとおったほんとうのたべものになること〉という賢治の願いがこめられた童話集『注文の多い料理店』を、挿し絵とともにすべて収める。ほかに「永訣の朝」「雨ニモマケズ」など、独特のことばでつづられた詩11編を収録。


 何度も読んだお話も、そのたびになにかが味わい深いです。

 たとえ、あらすじを知っていても、ことばひとつひとつに引っかかりや面白味を感じ、何度でも楽しめる。賢治自身が「なにかわけのわからないところもあるでしょうが」と自分自身で書いていますが、その「なにかわけのわからないところ」が特に面白いのです。




 「どんぐりと山ねこ」は、そこかしこにニヤリとできる箇所があって、おもしろい。
 そして、人間の世界に帰っていくとき、黄金のどんぐりが元に戻ってしまうところで、いつもさみしくなってしまいます。

 表題作「注文の多い料理店」は教科書にも採択されているだけあって、僕には完ぺきな作品のように思えてしまいます。二人の若い紳士が、なぜこんな目に遭ってしまうのかということを考えると、宮沢賢治の思いが見えてくる気がします。

 「烏の北斗七星」では、「どうかにくむことのできない敵を殺さないでいいように早くこの世界がなりますように」というからすの大尉の願いが切ないです。そのために自分の体が何度引き裂かれてもいいというその心根がまっすぐで痛く響いてきます。

 「月夜のでんしんばしら」は小さな頃から好きなお話で、「ドッテテドッテテ、ドッテテド」というところは、思わず節をつけて歌ってしまいます。

 読むといつでも泣きそうになる「永訣の朝」や、姿勢が伸びる「雨ニモ負ケズ」などの詩も収録されていて、改めて宮沢賢治という人のすばらしさを感じました。賢治は37歳で亡くなっているそうです。今の僕と同じ年だったんだなあ。

 また、いつか読み返すであろう、すてきな作品集です。
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プロフィール

HN:
A・T
年齢:
41
性別:
男性
誕生日:
1983/08/31
自己紹介:
ジブリとSFと児童文学とマンガが三度の飯より大好きなおじさん。

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