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ふしぎ図書室

民話や伝承、ファンタジーやSF、児童文学や漫画など、「すこしふしぎなおはなし」に惹かれるおじさんのつぶやき。

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『少年探偵 怪奇四十面相』 江戸川乱歩 (ポプラ文庫クラシック)

都内の拘置所に収容されていた怪人二十面相から新聞社に手紙が届いた。『「四十面相」と改名し、新事業「黄金どくろの秘密」に乗り出す』と。世間は大騒ぎになり、拘置所長も警戒を強める。「黄金どくろ」とは何か?小林少年がその謎に挑む!「大金塊」に並ぶ暗号解読ミステリの快作。


 カッコイイ二十面相が帰ってきた
 それも自ら「四十面相」と名称を改めて。

 こういうのを待っていた!
 怪人となり子どもをただただ脅すのではない、怪盗対名探偵の対決です。




 獄中からの手紙から始まり、脱獄、大捕物、脱走、尾行——と息つく暇もなく、物語はスピーディーに展開していきます。まさに息をのむ面白さ。

 そして、二十面相の意外な変装。
 なんと彼はポストに化けてしまうのです。
 ポストから足がニュッとでるシーンなど、驚いていいのか、笑っていいのかわかりません。

 この後、いろいろあって、黄金髑髏の暗号を解く、謎解きものに物語はシフトしていきます。
 ある邸宅の地下室で、髑髏の絵の描いた黒シャツと黒ズボンを履いた人々が、先祖の残した宝についての会合を行っているのです。宝の在りかは、その人たちが受け継いだ黄金髑髏の暗号を組み合せを解明すればわかるのですが・・・。それを、どうやらかぎつけた二十面相にばれないよう、小林少年も対抗して変装するのです。そう、百科事典に。百科事典に変装して、本棚に入っているのです。こちらにも、びっくりです。

 二十面相が古物商に化けているのを見つけた小林君は、鎧の中に潜んで二十面相の動きを把握しようとしますが、見つかってしまい、監禁されてしまいます。しかし、小林君は機知を働かせ、この場を回避し、逆に二十面相を監禁された部屋に閉じ込めてしまいます。このあたりの対決も非常にスリリングで面白く、シリーズの中でも面白い部類に入る作品だといえます。

 最後は、黄金髑髏の財宝をめぐる探検譚となっており、『大金塊』を思わせるような洞窟で、二十面相と明智探偵の対決です。敵役が強いからこそ、ヒーローも輝けるのです。その点で、この巻の二十面相は、できる怪盗としての役割をみごとに果たしてくれました。

 今後もこの位置づけを期待したいのですが・・・。次の巻の題名は『宇宙怪人』。題名だけで、子どもをいたずらに脅かすというたったそれだけに、命をかける誰かさんの姿が容易に想像されてきます。
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プロフィール

HN:
A・T
年齢:
41
性別:
男性
誕生日:
1983/08/31
自己紹介:
ジブリとSFと児童文学とマンガが三度の飯より大好きなおじさん。

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