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ふしぎ図書室

民話や伝承、ファンタジーやSF、児童文学や漫画など、「すこしふしぎなおはなし」に惹かれるおじさんのつぶやき。

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『少年探偵 地底の魔術王』 江戸川乱歩 (ポプラ文庫クラシック)

天野勇一少年の前に「魔法博士」を自称する奇妙な男が現れ、少年の目の前で空中からバットやボールを取り出してみせる。後日天野少年は、少年探偵団の小林団長と共に、魔法博士の住む洋館を訪ねる。しかし、博士の行なう魔術ショーの途中で、天野少年は博士とともに姿を消してしまう。


 またもや、怪人物の登場です。

 魔術を使う博士が、人体消失マジックのショーを行う途中で、消失した少年とともに姿を消してしまう。かつて、夢中になった児童文学(はやみねかおる「名探偵夢水清志郎事件ノート」)で、同じようなシーンがあったのを思い出しました。こういった場面のおかげで、マジックショーを見るときには、こういう妄想がチラチラと頭の中をよぎるようになりました。

 さて、この魔法博士の正体やいかに?





 そう、もちろん正体はあの男です。

 その後、狛犬が動いたり、少年がさらわれたり、東京に虎が現れたり、不可思議な事態が頻出します。
 
 さて、この事態に明智探偵はというと・・・。病気で寝たきりの状態になっているのです。
 なんという間の悪さ!そして、こういうときこそ少年探偵団の腕の見せ所なのですが・・・・・・。

 逆に小林少年が二十面相に誘拐され、明智探偵さえも賊に誘拐されてしまいます。
 このあたりは、新しい展開で実に面白く感じました。

 当然、明智探偵がそんな間抜けなはずはなく、賊の隠れ家を暴くための罠だったのです。
 似た屋敷が二つのトリックは、これも探偵小説らしくいいですね。
 ただ、狛犬や虎の衣装を被って走り回ったり、歩き回ったりしているその内心を考えるとなんだかおかしいですね。大真面目にやっている二十面相はいいとして、着ぐるみを着させられている部下たちはどんな気分でいるのでしょうか?

 壮絶な追いかけっこの末、二十面相はなんと堂々明智探偵事務所に乗り込むのです。
 明智探偵夫人の文代さんをさらって逃げる魂胆でしたが、文代さんがどんな人かを知っている乱歩ファンは、まったく心配しないでしょう。明智と文代さんは、逆に二十面相を罠に陥れ、捕えることに成功するのです。

 ヒロイン文代さんの活躍も、とても新鮮でした。この巻には、こういった新展開がいくつか添えられていて、楽しめるものになっていました。

 さて、二十面相の今回の事件の動機は、以下のように説明されています。
 警官が、「(略)こんなへんてこな犯人ははじめてですよ。」と言ったのに対し、明智が答えます。

 「そうです。あいつは、こんどはほかになんの目的もなかったのです。ただ、ぼくをこまらせて、それ見ろと笑いたかったのですね。(略)ハハ・・・・・・、考えてみると、なんだか、かわいそうですね。」

 
毎回復讐に失敗し、明智と少年探偵団に嫌がらせを繰り返してくる二十面相。

 彼の次の行動がいかなるものか、期待したいと思います。
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プロフィール

HN:
A・T
年齢:
41
性別:
男性
誕生日:
1983/08/31
自己紹介:
ジブリとSFと児童文学とマンガが三度の飯より大好きなおじさん。

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