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ふしぎ図書室

民話や伝承、ファンタジーやSF、児童文学や漫画など、「すこしふしぎなおはなし」に惹かれるおじさんのつぶやき。

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『八月の暑さのなかで ホラー短編集』 金原瑞人編訳 (岩波少年文庫)

英米のホラー小説に精通した訳者自らが編んだアンソロジー。エドガー・アラン・ポー、サキ、ロード・ダンセイニ、フレドリック・ブラウン、そしてロアルド・ダールなど、短編の名手たちによる怖くてクールな13編。全編新訳。


 お上品な怪談集
 読んだ後にじわじわと恐怖が染み込んでくるような作品が多いです。
 B級ホラーのような刺激で恐怖を呼び起こすような安い作りではないのです。

 採用されている作品も怪談小説の中でも古典と呼んでもいいようなものが多いようです。





 思いつきで死刑宣告されたばかりの犯罪者の絵を描いた男が、現実にいるその男に出会ってしまう表題作「八月の暑さのなかで」。石工のその男が石に掘った字に、語り手は驚愕してしまいます。緊張感に包まれて終わるラストがいいですね。

 個人的にお気に入りは、フランク・グルーバーの「十三階」という作品。
 自分の読書記録を見ると、15年くらい前に『SFマガジン』増刊の怪奇恐怖特集号で読んでいるらしいのですが、まったく記憶にありませんでした。今回改めて読んでみると、タイムスリップものであるし、幽霊ものでもあるし、とても面白かったです。ちなみに、この本でも取り上げられているロード・ダンセイニの別の作品もそのときに読んでいるようです。それも、まったく覚えていないのですから、記憶の風化というものに恐怖を感じてしまいます。

 さて、一番怖かったのは、巻末収録の「ハリー」という作品です。
 子どもが想像上の友だちを持っていると思いきや実は・・・・・・という作品ですが、徐々に明らかになっていくサスペンスのような展開がスリリングで、どんどんと物語に引き込まれて行きます。そして、悲しい物語でもあり、読後にじわじわとくる作品です。

 背中が静かにゾクゾクするような、体がひんやりとしびれてくるような、そんな感覚を味わいたい方はぜひ読んでみてください。
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プロフィール

HN:
A・T
年齢:
41
性別:
男性
誕生日:
1983/08/31
自己紹介:
ジブリとSFと児童文学とマンガが三度の飯より大好きなおじさん。

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