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ふしぎ図書室

民話や伝承、ファンタジーやSF、児童文学や漫画など、「すこしふしぎなおはなし」に惹かれるおじさんのつぶやき。

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『クルミわりとネズミの王さま』 ホフマン作 上田真而子訳 (岩波少年文庫)

クリスマスイヴの日、フリッツとマリーのきょうだいは、不思議なドロッセルマイヤーおじさんからのプレゼントを心待ちにしていました。たくさんのおもちゃの中に、マリーはクルミわりを見つけます・・・・・・夢と現実が入りまじって紡ぎ出されるドイツの幻想的な物語。





 バレエで有名な「くるみ割り人形」の物語です。
 こちらなどは3分でまとめてくれているので、非常にわかりやすいです。
 ただ読み終えてみて、小説とはだいぶん筋が違うなと感じました。

 バレエの発表会などで、断片的なものを見せられていたので、全体はどうなっているのか気になり、今回読んでみました。

 中身はとっても面白いものでした!

 シュタールバウム家の居間で行われる戦闘。
 輝く王冠をかぶった七つの頭を持つ大ネズミ。少し滑稽な格好をしているけれど、中身はイケメンなくるみ割り人形(若いドロッセルマイヤー)。それぞれを大将にした二軍のぶつかり合いにまず興奮します。

 そして、夢か現か、現実をあやふやにしてくれる怪しげなドロッセルマイヤーおじさん
 この人の得体のしれない怖さなしには、この物語は語れません。

 ドロッセルマイヤーさんのお話は、ふざけたユーモアばかりで、ヨーロッパ的なナンセンスを感じます。『脂身が足りない』という一言には思わず声を出して笑ってしまいました。若いドロッセルマイヤーの冒険も愉快愉快。最後まで一気に読んでしまいました。

 そして、お話の中に連れ込まれていくような、そんなラストも大好きです。だいたいの物語は異界から現実に帰ってくるという構造で、それはそれで面白いものの、物足りなさを感じることがあります。この物語は逆に異界へとヒロインが連れ去られて行って、幸せになる。ここまで空想と現実がこんがらがっている作品も珍しく、久々に読みながら世界観に取り込まれる浮遊感のようなものを感じることができました。おすすめですよ!
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プロフィール

HN:
A・T
年齢:
41
性別:
男性
誕生日:
1983/08/31
自己紹介:
ジブリとSFと児童文学とマンガが三度の飯より大好きなおじさん。

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