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ふしぎ図書室

民話や伝承、ファンタジーやSF、児童文学や漫画など、「すこしふしぎなおはなし」に惹かれるおじさんのつぶやき。

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『少年探偵 怪人二十面相』 江戸川乱歩 (ポプラ文庫クラシック)

十年以上を経て突然帰郷した羽柴家の長男、壮一。折しも羽柴家には、ちまたで噂の盗賊「怪人二十面相」からロマノフ王家に伝わる宝石を狙った予告場が届いていた。変幻自在の愉快犯・怪人二十面相と名探偵明智小五郎、記念すべき初対決の幕が開く。




 かつて、図書室に置いてあった少年探偵のシリーズを、てのひらサイズの文庫で集めていく喜び。挿画は柳瀬茂さん。この方の表紙の絵が、とっても大好きだったんです。

 光文社文庫の江戸川乱歩全集などでも再読しましたが、やはり柳瀬茂さんの挿画とともに読みたい。小学校の頃の図書室の雰囲気とあの頃のドキドキ・ワクワクが蘇ってくる思いです。

 さて、本巻は記念すべき、あの怪人二十面相の初登場となっています。
 名探偵明智小五郎の好敵手でもあり、少年たちともむきになってちゃんと張り合ってくれる怪盗紳士です。

 少年探偵シリーズでの楽しさは変装です。
 今回のハイライトはやはり、小林芳雄少年が仏像に変装してピストルを二十面相に突きつけるシーンでしょう。子ども心に一番印象に残っていますし、今でも衝撃です。
 また、探偵七つ道具の使い方にも毎回ワクワクしてします。こんなおじさんになっても、そうなのですから、男っていうのは困ったものですね。

 そして、毎回、二十面相がどのように不可能な状況から獲物を盗み出すかということです。
 今回はロマノフ家の宝石、美術城の品々、博物館の襲撃の三件の盗みを行おうとします。
 特に美術城の品々を盗む、その高名な手立てにワクワクしましたし、その鮮やかな盗みの手腕がないと、明智探偵のすごみも引き立ちませんよね。

 特にこの巻で好きなのは、明智探偵と二十面相が東京駅で会うシーンです。
 相手の正体をわかっていながら、豪胆な明智探偵は、敢えて相手の懐に飛び込むような真似をするのです。明智探偵と二十面相はコインの表裏のような関係で、お互いに犯罪というものに並々ならぬ興味や研究心を抱きながら、一方は正義の側に立ち、一方は悪の側で活躍する。互いに似たものを感じながら、激しく敵意を抱き合うという不可思議な関係性の妙

 久々にシリーズを読破したい気分になってきました。
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プロフィール

HN:
A・T
年齢:
41
性別:
男性
誕生日:
1983/08/31
自己紹介:
ジブリとSFと児童文学とマンガが三度の飯より大好きなおじさん。

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