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ふしぎ図書室

民話や伝承、ファンタジーやSF、児童文学や漫画など、「すこしふしぎなおはなし」に惹かれるおじさんのつぶやき。

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『クローディアの秘密』 E.L.カニグズバーグ作 松永ふみ子訳 (岩波少年文庫)

少女クローディアは、弟をさそって家出をします。ゆくさきはニューヨークのメトロポリタン美術館。そこでこっそり生活をするうちに、2人はミケランジェロ作とされる天使の像にひきつけられ、その謎を解こうとします。



 とてもすてきな物語でした。

 まず、家出をして、美術館に毎日寝泊まりするというシチュエーションがとってもワクワクするものになっています。僕も美術館を訪れるのは大好きですが、ニューヨークという大都会のメトロポリタン美術館はそうとう巨大なようですね。いつか行ってみたいです。

 主人公クローディアは頭がよく、活発な女の子。緻密に計画して家出を実行します。
 道づれは金銭感覚に秀でた弟ジェイミー。けっこうな現実家で、この二人の姉弟の口喧嘩に毎回笑ってしまいます。

 さて、物語の中心は、最近、メトロポリタン美術館にやってきた「天使」と呼ばれる小さな像が、ミケランジェロ制作のものか否か、ということをクローディアが探ることです。図書館で背景を学習したり、寄贈した人を探ったり、まさに昨今叫ばれているアクティブラーニングを実践しています。家出といい、この天使像をめぐる調査といい、ほんとうに行動的なクローディアの姿には、ふだん出不精な僕も外に出ようと背中を押されます。

 徐々に書かれている人が明らかになってくる物語の構造も面白い。
 そして、題名になっている「秘密」。お金よりも「秘密」が大切。その言葉に深く心打たれましたし、クローディアがなぜ家出をしたのか。なぜ、生きていくうえで何かが足りないような気がするのか。そんな人生のうえでの悩みに、一つ何かを投じてくれる答えをここに見た気がします。
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プロフィール

HN:
A・T
年齢:
41
性別:
男性
誕生日:
1983/08/31
自己紹介:
ジブリとSFと児童文学とマンガが三度の飯より大好きなおじさん。

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