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ふしぎ図書室

民話や伝承、ファンタジーやSF、児童文学や漫画など、「すこしふしぎなおはなし」に惹かれるおじさんのつぶやき。

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『けものたちのないしょ話 中国民話選』 君島久子編訳

動物たちの話を聞いて幸運をつかむ「けものたちのないしょ話」(プミ族)、美しい声で歌うネコの話「歌をうたうネコ」(タイ族)をはじめ、「牛飼いと織姫」(漢族)、「ふしぎな探検」(ウィグル族)など、中国のさまざまな民族に語り伝えられた民話27編を収録。




 とても面白いです。

 なにが面白いかというと、日本やヨーロッパの民話と同じような話がたくさんあるというところに驚きます。

 「妖怪にとられたこぶ」の話はそのまま「こぶとりじいさん」のお話です。
 ただ、日本の「正直なおじいさん」と「意地悪なおじいさん」の対比ではなく、「悪い兄」「よい弟」となっているのが、文化の違いとして面白いところです。

 「ぼうしになったキツネ」はペローの童話集に収められている「長靴をはいた猫」と同じようなストーリーです。主人ときつねとの関係が、この話では特徴的で、心の交流みたいなのが反映されていていいですね。

 虐げられた女の子が仙女の力を借り、領主が拾った靴にぴったりで、領主のお嫁さんになる。これは、「靴のゆくえ」のストーリーですが、「シンデレラ」のお話ですよね。後半の展開はまったく違いますが、このように似たお話がたくさんあるのは興味深いものです。

 ここで疑問となるのは、こういったお話が口伝えにどんどんと世界に広まっていったのかという考えと、同時発生的に思いつかれて世界の各地に残っているのか、という二つのことです。
 明らかに中国から伝わってきたと思われる「天女の里がえり」なんかは置いておいても、こんなに似たりよったりになるものかなー、とびっくりします。
 いずれにしてもロマンのある空想に浸れますね。

 初めて読んだようなお話もたくさんあって、特にお気に入りだったのが、RPGみたいに仲間を集めて悪い王を倒す「サンジシャー」。自己犠牲の精神を心を打つ「狩人ハイリーブ」。とても面白いです。

 そして、もうひとつ感じたのは、中国にはさまざまな民族が暮らしていて、それぞれに固有の文化があるのだなあということです。最近、中国の同化政策に関するニュースを目にすることが増えています。各民族の伝統や文化が守られることをこの本を読んで、痛切に感じました。
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プロフィール

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A・T
年齢:
41
性別:
男性
誕生日:
1983/08/31
自己紹介:
ジブリとSFと児童文学とマンガが三度の飯より大好きなおじさん。

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