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ふしぎ図書室

民話や伝承、ファンタジーやSF、児童文学や漫画など、「すこしふしぎなおはなし」に惹かれるおじさんのつぶやき。

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『ネギをうえた人 朝鮮民話選』 金素雲編 (岩波少年文庫)

人間はどうしてネギを食べるようになったのか?ネコとイヌがけんかするのはなぜ?おばあさんは悪いトラをどうやって追いはらったか——動物と人間がくりひろげるのどかな世界が語られる朝鮮の民話33編。


 独特!
 というのが読後の素直な感想です。

 物語の原型というか、素材をそのままお出ししました!という味わいのものが多く、とにかく「えー」と驚くお話が多いです。





 表題作「ネギをうえた人」は、「そのころは、よく人間が、人間を食べました。」という一文に衝撃を受けます。続いての一文にもやられます。「それは、おたがいが牛に見えるからでした。」というわけで、親や兄弟でも食べてしまう時代があったそうです。ネギを食べると、人だという区別がつくそうで、それを人間を食べる国に持ち帰った一人の男がいました。しかし、ネギをまいた男は、友人の家に行ってそれを報告しようとしたところ牛とまちがえられて食べられてしまうという・・・・・・。なんとも報われない話のように思えてしまいます。

 天の羽衣の伝説(天女伝説)は中国を中心に伝播したものか、「シカと木こり」も天人の羽衣を盗んで夫になるという定型話です。しかし、最後には木こりがニワトリになってしまうというオチがついており、これも独特です。あとは「舌きり雀」と「カボチャの種」に類似性があって面白かったです。こちらは雀ではなく、ツバメですが。

 ストーリーとして面白かったのは、「竜宮の青い玉」。途中まで日本の「浦島太郎」のようなお話ですが、途中でいじわるなばあさんに青い玉を奪われたところ、犬と猫が仲睦まじく取り返しにいくのですが・・・。犬猫が好きな僕は微笑ましく読んでいましたが、なんとこの青い玉をめぐって、犬と猫が仲が悪くなってしまい、今日もそれが続いているとは・・・。意外性があってすてきです。

 あとは洪水伝説譚「ブンブン東」、怪物退治譚である「ワシにさらわれたおひめさま」などが印象に残りますね。とにかく、アジアの民話は面白いということがわかったので、他の国の民話にも興味が湧いてきました。同じように興味がある人はぜひ読んでみてください。
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プロフィール

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A・T
年齢:
41
性別:
男性
誕生日:
1983/08/31
自己紹介:
ジブリとSFと児童文学とマンガが三度の飯より大好きなおじさん。

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