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ふしぎ図書室

民話や伝承、ファンタジーやSF、児童文学や漫画など、「すこしふしぎなおはなし」に惹かれるおじさんのつぶやき。

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『少年探偵 魔法博士』 江戸川乱歩 (ポプラ文庫クラシック)

少年探偵団の名コンビ・井上くんとノロちゃん。ある日ふたりは、珍しい「移動映画館」に惹かれてそのあとをついていくが「魔法博士」と名乗る黄金の姿をした盗賊とその手下に捕らえられてしまう。彼らの目的は、何と名探偵明智小五郎を盗み出すことだった!


 冒頭、少年探偵団ではおなじみの井上一郎君と野呂一平君(ノロちゃん)が登場し、「あやしいやつを見たら、あとをつけないではいられない」少年探偵団のさがで、尾行を始めます。結果、さらわれてしまうわけですが、そこで奇怪な人造人間の群れを目撃し、魔法博士という人物に出会います。(この名前、以前にも登場しています)






 今回は、黄金怪人なる者の登場です。全身金色に光り、顔には黄金仮面。そして、自らを魔法博士と名乗ります。「わしは大どろぼうじゃ。魔法つかいの大どろぼうじゃ。」としょっぱなから、誰かを連想させるような思わせぶりな口調で、名探偵明智小五郎を盗み出すことを宣言するのです。

 さて、鉄鋼会社社長の山下さんの家にある「グーテンベルクの聖書」というお宝がねらわれることとなります。世界史の時間に習いましたよね。活版印刷の発明者グーテンベルク。子どもには渋めのお宝のチョイスです。黄金怪人は、ニ十センチの小型化をしたり、不可思議な現象で山下さんちの子どもの不二夫君を驚かせたりします。結局、あっさり聖書は盗まれてしまいました。

 三日後、怪しい老人を見つけた小林君、井上君、ノロちゃんの三人は尾行を始めます。
 そして、防空壕を改造した敵のアジトらしきものにたどり着くのです。そこで、巨人の胎内めぐりをさせられて、肝をヒヤヒヤさせられます。さらには、もう一人の井上君とノロちゃんが現れて、替え玉になっていたことがわかります。さすがに、日常生活でばれてしまうのでは・・・と思いますが、そこも二十面相の魔法なのでしょう。今回、ポストへの変装第二弾があり、それにも衝撃を受けました。

 その後、なぜだか手品大会が始まり、三人の少年たちが踊るシーンがあるのですが、ちょっとついていけない感じです。その後、ゾウが現れたり、ノロやんが密室から消失したり、子どもを驚かせるためだけのできごとが次々起こります。

 これまで役立ってきたB・Dバッジを逆に明智探偵をおびきよせる罠にした黄金怪人。バッジを見つけて騒ぐ少年探偵たちをよそに、明智は落ち着きはらっています。屋敷に忍び込み、いったんは捕らわれたかと思った明智ですが、これも替え玉を使い、黄金仮面に化けて二十面相と対決します。つくづくこの二人は同じような思考回路を持っているのだな、と感じるシーンです。

 その後、二十面相のいつもの手であるアジトの爆破、ゾウをはなつ計画を見抜いていた明智は、二十面相に対して「しょうこりもなく、ぼくに復讐をくわだてる、執念ぶかい悪魔だっ!」と言い放つのです。そして、明智探偵の計略で、二十面相は巨人の歯の間に挟まれて、手足をばたばたともがいているところを縛り上げられて逮捕、という情けない結末に追い込まれてしまうのでした。

 読み終わって、二十面相に復讐以外のもっと高い志が欲しいなと、少しさびしくなってしまいました
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プロフィール

HN:
A・T
年齢:
40
性別:
男性
誕生日:
1983/08/31
自己紹介:
ジブリとSFと児童文学とマンガが三度の飯より大好きなおじさん。

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