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ふしぎ図書室

民話や伝承、ファンタジーやSF、児童文学や漫画など、「すこしふしぎなおはなし」に惹かれるおじさんのつぶやき。

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『銀河鉄道の夜』 宮沢賢治作 (岩波少年文庫)

宮沢賢治の童話集。夜の軽便鉄道に乗って天空を旅する少年ジョバンニの心の動きを描いた表題作のほか、「やまなし」「貝の火」「なめとこ山のくま」「オッペルとぞう」「カイロ団長」「雁の童子」の7編。幻想性に富んだ作品を収めます。


 ぶどうの房から、一粒一粒を大事に食べるように、それぞれの話を読みました。

 小学校のときに、教科書で読んだ「やまなし」。
 あまりにも懐かしかったです。やはり、「クラムボン」ということばの響きが印象に残りますね。






 これまた、高校生の教科書によく載っている「なめとこ山のくま」は、神話的な色合いがあり、読んだあとに背筋が伸びるようなお話になっています。生きるために殺すということ。山では王者のような小十郎も下界に下りれば小さくなってしまうこと。小十郎が死のときにあって、満足そうな顔をしていたこと。いくつも心に残るところがあって、すばらしい作品だと思います。

 「オッペルとぞう」や「カイロ団長」は、労働というものが戯画化されていて、おもしろく笑いましたし、「雁の童子」は説話的な面白さがあり、好きでした。

 そして、「銀河鉄道の夜」。いうまでもなく、日本文学史上に残る名作です。
 アニメーション映画の「銀河鉄道の夜」も大好きで、読んでいる中で、映画のシーンがいくつもよみがえってきました。そのせいで、ジョバンニもカンパネルラもますむらひろしの描く猫の姿で頭の中には登場しました。
 描写のひとつひとつが詩的な表現で美しく、一文一文に味わいを感じます。
 そして、登場人物たちのまっすぐさに、心が洗われて漂白されていくような気がします。
 エピソードとしては、サギを食べるシーン、さそりの火の話、タイタニック号の乗客の話などが、やはり心に残ります。

 宮澤賢治の作品を読むときには、居住まいを正して読まなくてはならないなといつも思います。小学生のときに、彼の伝記を読んだのですが、その生き方、姿勢、そんなものへの憧れを今でも持ち続けています。今回、またこの作品集を読んで、その思いを改めて強くしました。
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プロフィール

HN:
A・T
年齢:
41
性別:
男性
誕生日:
1983/08/31
自己紹介:
ジブリとSFと児童文学とマンガが三度の飯より大好きなおじさん。

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