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ふしぎ図書室

民話や伝承、ファンタジーやSF、児童文学や漫画など、「すこしふしぎなおはなし」に惹かれるおじさんのつぶやき。

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『神秘島物語』佐藤さとる文 原作J・ベルヌ 絵 生頼範義 澤田賢 (痛快 世界の冒険文学)

南北戦争下のアメリカ・リッチモンド市から、嵐の吹きあれる夜、気球に乗って脱出した5人の男たち。強風にもまれ、気球が流されたところは、絶海の無人島だった。もてる科学知識と行動力を駆使し、彼らの生きのびるためのたたかいがはじまった……。


 漂流の物語です。

 流れ着いた島で、さまざまな生きる知恵を出しながら、登場人物たちがサバイバルする物語です。南北戦争時代のアメリカ、しかも北軍の人々が、南軍から逃れるために、気球に乗って脱出し、ある島に流れ着きます。こう書くだけでも、ロマンにあふれていますよね!大尉・従軍記者・少年などのさまざまなメンバーの5人で、個々が力を発揮しながら生き延びていく姿に感動します。






 科学的知識を駆使しながら、一見なにもない無人島から、道具を生み出していく過程が、まさに空想科学小説という感じで、楽しいです。ニトログリセリンを作るところや、ガラス製品を生み出すところなど、無から有を生み出すような現代の魔法です。

 猛獣との戦いや、押し寄せる海賊との戦いなど、アクションシーンも満載で、少年の心を飽きさせません。また、新たに元海賊の仲間が増えていくなど、RPGゲームで新しい仲間を増やしていくのと同じような楽しみがあるなあと感じました。

 そして、島で生き延びる5人を助けてくれる神秘的な存在があります。
 彼らが苦しんでいれば、なぜか助けとなるようなアイテムが海に浮いていたり、海賊船が轟音とともに沈んだり・・・。彼らに手を差し伸べる謎の存在が、この島にはいるのです。
 『海底二万哩』の読者であれば、想像がつくのですが、まさかネモ船長がここで出てくるとは!という感じでしたが、ジュール・ヴェルヌワールドが繋がっていて、僕としてはすごく楽しかったですね。

 『あやうしズッコケ探検隊』と重なる部分があって、この『神秘島物語』が下敷きになっているのではと思いました。「遭難→猛獣との邂逅→老人との出会い」という構造だとか、他にもいくつか似ている部分があります。まあ、考えすぎでしょうが。

 この「痛快 世界の冒険文学」というシリーズは、執筆陣も豪華で、今後読むのが楽しみでしかたがないです。今回はあのコロボックルシリーズの佐藤さとるさんが訳者です。しかも、表紙はSFイラストでおなじみの生頼範義さん。画集を何冊も持っているほど好きなんですよね。スター・ウォーズの映画のポスターや平成ゴジラのイラストなどでも有名です。途中で出てくるカラーイラストに感動しました。

 わくわくして、ページを繰る手を止めることのできない、楽しい物語でした。
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プロフィール

HN:
A・T
年齢:
40
性別:
男性
誕生日:
1983/08/31
自己紹介:
ジブリとSFと児童文学とマンガが三度の飯より大好きなおじさん。

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