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ふしぎ図書室

民話や伝承、ファンタジーやSF、児童文学や漫画など、「すこしふしぎなおはなし」に惹かれるおじさんのつぶやき。

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『SFセレクション1 時空の旅』 赤木かん子編

星新一「午後の恐竜」、H.G.ウェルズ「スピードのでる薬」、アーサー.C.クラーク「大英博物館の盗賊」、小川未明「時計のない村」、フレドリック・ブラウン「血」、佐藤史生「金星樹」、レイ・ブラッドベリ「トインビー・コンベクター」の、タイムトラベルに関する物語7編を収録。


 ポプラ社のSFアンソロジーです。今回は、タイムトラベルにまつわるお話を集めたもの。
 懐かしい作品あり、読んでるのに忘れている作品あり、新しく知る作品あり、でなかなか楽しかったです。






◎星新一「午後の恐竜」
 日曜の朝、目覚めると、実体のない恐竜たちが、そこここにいて・・・。

 言わずと知れた名作です。恐竜たちの幻影がそこかしこにいて、子どもたちが夢中になっている。
 前半楽し気ながらも不穏な空気が流れているのですが、その原因を知るにつれてどんどん怖くなってくる作品です。

☆H・G・ウエルズ「スピードのでる薬」
 親友のジパーン教授が発明したのは、人の数倍のスピードで活動ができるようになる薬だった・・・。

 映像的なイメージのすばらしい作品です。自分の活動を加速する薬で、周囲の時間がほぼ止まって見えます。その世界の描き方がすばらしく、新しい世界を見たような気分になれます。ほぼ時間の止まった公園での様子、摩擦熱で発火してしまうなど、印象に残るシーンが多い作品でした。

〇アーサー・C・クラーク「大英博物館の盗賊」
 アシュトンの家を突然訪問した貴婦人。その依頼は、特殊な道具を使って、大英博物館の収蔵品を盗むことだった。

 結末が午後の恐竜とかぶっていて、味が薄まってしまったというのがあるかもしれません。
 単体で読むと評価も違ったのかなと思うので、アンソロジーは順番もけっこう重要ですね。
 ミュージシャンがアルバムの曲順なんかにこだわるのもわかる気がしました。

◎小川未明「時計のない村」
 ある金持ちが、都会で時計を買ってきた。村の者がその家に集まるのを見てもうひとりの金持ちが時計を買ってきたが・・・。

 近代に入り、時間というものの意識が変わったという誰かの書いた評論を思い出しました。
 SFではない作品ですが、含蓄のあるすてきな作品です。

〇フレドリック・ブラウン「血」
 吸血鬼一族の最後の生き残りである二体は、生きる場所を求めて未来への旅を繰り返すが・・・。

 アイデア一発勝負!というショートショート。進化論の一説を知っていれば、もっと笑えたのかも。

◎佐藤史生「金星樹」
 マッキーが連れてきた孤児のネネ。アーシーはともに育ち、彼女を愛するようになるが、ネネは・・・。

 複雑なストーリーに複雑なお話です。竹宮恵子・萩尾望都のアシスタントをして・・・というところに「なるほど」と思う絵柄とストーリー。特に後半のイマジネーションがすばらしいです。

☆レイ・ブラッドベリ「トインビー・コンベクター」
 タイム・トラベラーが未来へと旅をし、上空に出現したというその瞬間を人々は待っていた。独占取材の権利を手にした新聞記者が当の本人にインタビューをしにいくが・・・。

 タイム・トラベラーの老人が、なぜタイムマシンを作ったのか・・・。彼の告白はある程度、予測できましたし、その動機も予測できましたけれど、その穏やかな眠りには、心にしみじみと感動を与えてくれました。彼の飲むワインが1984年のものだというものにも、なにか意味を感じます。
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プロフィール

HN:
A・T
年齢:
41
性別:
男性
誕生日:
1983/08/31
自己紹介:
ジブリとSFと児童文学とマンガが三度の飯より大好きなおじさん。

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