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ふしぎ図書室

民話や伝承、ファンタジーやSF、児童文学や漫画など、「すこしふしぎなおはなし」に惹かれるおじさんのつぶやき。

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『少年少女古典文学館9 今昔物語集』 杉本苑子

表面上では、貴族文化がはなやかに咲きほこった平安時代。だが、ほんのわずか京の裏通りに目をやれば、そこは追いはぎ・盗賊が横行し、人々は災いをもたらす鬼や魔物たちにおびえながら暮らす、混沌の世界だった。「今は昔」で語り出される『今昔物語集』には、受領・武士・僧侶・農民といった、それまでの文学では無視されがちだった人々が主人公として登場し、おかしく、ときにはかなしい人間ドラマを展開する。全三十一巻千話以上からなる一大説話文学から、おもしろくかつ親しみやすい五十一編を厳選して収録する。


 やはり、説話集は面白いです。
 不思議な話とんでもない話が多くて、刺激的です。

 例えば、鷲にさらわれた少女が数年後に実父にと再会する話、犬の鼻の穴からおびただしい絹糸が出てくる話、人間に化けたサナダ虫の話とか・・・。

 一番印象に残ったのは、暴風雨の翌朝に15メートルもある巨人の女の死体が浜辺に打ち上げられていたというエピソード。中央に報告すればしたで、めんどうが増えるだけ。放っておこうというわけで、巨人の死体は腐って悪臭を放ち続け・・・、という話なのですが、まるでSFの名作、J・G・バラードの「溺れた巨人」じゃないですか。

 人を殺してしまうお坊さんとか、泥棒をこらしめるお坊さんとか、お坊さんの人間味が伝わってきたりとか、やはり説話集は人間味ということが感じられるので大好きですね。また、僕は怪力の女性のエピソードが大好きで、このお話にも、五百人力の女性が登場してすてきです。

 
この本では、訳者がひとつひとつ「訳者からのひとこと」をつけてくれています。説話の中では、「なんなの?この話?」というのがたくさんあって好きなのです。訳者が最後に解説みたいなことをしてくれていて、なるほどと思うところもあるのですが、「別にそのまま素直に受け取ってもいいじゃん」、とか、「当時の人々の価値観を否定することないんじゃ?」などと思ってしまうところもありました。
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プロフィール

HN:
A・T
年齢:
40
性別:
男性
誕生日:
1983/08/31
自己紹介:
ジブリとSFと児童文学とマンガが三度の飯より大好きなおじさん。

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