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ふしぎ図書室

民話や伝承、ファンタジーやSF、児童文学や漫画など、「すこしふしぎなおはなし」に惹かれるおじさんのつぶやき。

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『トムは真夜中の庭で』 フィリパ・ピアス作 高杉一郎訳 (岩波少年文庫)

友だちもなく退屈しきっていたトムは、真夜中に古時計が13も時を打つのを聞き、昼間はなかったはずの庭園に誘いだされて、ヴィクトリア朝時代のふしぎな少女と友だちになります。歴史と幻想が織りなす傑作ファンタジー。



 題名に惹かれて読み始めましたが、たちまちに物語に引き込まれていきました。

 弟がはしかにかかり、叔父さんの家に隔離されたトム。
 そこで、真夜中にふつうではない体験をすることになるのです。

 裏口の外は、ふだんは狭い空き地になっているのに、真夜中になると、庭園が現れる。
 そして、その庭園は、どうやらヴィクトリア女王の時代のものだというのだ。

 「時を超える」という不思議なできごと。それだけでなく、主人公のトムは、特定の人物以外には見えない。がんばれば壁を通り抜けることができる、などといった超現実的なできごとを経験します。

 そして、ハティという女の子と時空を超えた友情を結ぶことになります。
 真夜中に庭園にくるたびに、季節が変わっているなど、トムの時間とハティの時間には、かなりの相違があり、トムが訪れるたびにどんどん成長していきます。

 最後には大人になったハティには、トムの姿は見えなくなってしまいます。
 タイムトラベルものなどにみられるような、時間の齟齬からくる悲しみがあり、胸に迫ります。取り残されたような悲しみを感じるトムと同じような気持ちを読者も味わうはずです。

 しかし、最後にはそれを忘れさせてくれるようなすてきなフィナーレが待っていました。
 作者自身が作品解説で最後に結ぶひとことがすてきです。

  私たちはみんな、じぶんのなかに子どもをもっているのだ。

 そのことを忘れないようにしないとな、ともうおじさんになってしまった僕は思いました。
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プロフィール

HN:
A・T
年齢:
41
性別:
男性
誕生日:
1983/08/31
自己紹介:
ジブリとSFと児童文学とマンガが三度の飯より大好きなおじさん。

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