世界の真ん中にあるという一本の大きな木の根元に住んでいる少女シシは、金色の鳥をみかけます。その鳥が「すべてを知るという伝説の鳥」だと信じたシシは、金色の鳥をさがしに、その大きな木に登ることを決意するのです。
宮崎駿作品の主要スタッフのひとりとして活躍する著者の、はじめての描き下ろし絵本です。透明感あふれる絵と、独特の文体でつづった、自然と少女の物語が始まります。
すてきな絵物語です。
アニメージュ文庫ということもあり、宮崎駿の『シュナの旅』を思い起こさせるような、しかし、
独特の世界観で描かれるファンタジーです。
深い山の中、巨大な一本の大きな木。
スタジオジブリの主要スタッフが著者ということで、『もののけ姫』のような壮大な自然の物語になっています。
自然の描写がとても美しく、ページをめくるたびに目が喜びます。
人のほとんど訪れたことのない世界を、苦しみながらも上っていく。その冒険の物語でもあり、
スリルがあります。途中で出会う不思議な青年、森が崩壊しかけていること、鳥の正体など、さまざまな
謎もあり、楽しく読めました。
特に
「鳥」の造形、描写はカッコイイながらも狂気の宿っている感じなど、すばらしいものを感じました。一番お気に入りのシーンは「鳥」が巣を蹴散らすシーンです。この絵が、どうしても目に焼き付きます。
「あとがき」では、屋久島への旅がこの物語の構想の発端となったと書いておられます。
たしかに、屋久杉のあの
尋常ならざる生命力が、この物語からは伝わってきます。
巻末には宮崎駿監督の文章が添えられており、『ナウシカ』や『トトロ』、『魔女の宅急便』のシーンを著者がどのように表現したかを書かれており、ジブリファンとしては楽しかったです。
まだ読んでいない人は、このような紹介動画がありましたので、ご覧になってください。
きっと読みたくなりますよ。
https://www.youtube.com/watch?v=u-_50KC3ELQPR