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ふしぎ図書室

民話や伝承、ファンタジーやSF、児童文学や漫画など、「すこしふしぎなおはなし」に惹かれるおじさんのつぶやき。

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『SFセレクション6 変身願望~メタモルフォーゼ』 赤木かんこ編 (ポプラ社)

星新一、クリス・ネビル、志村貴子、菅浩江、イアン・マクラウドなど、人がもうひとりの自分の姿に気づく時・・・一風変わった変身物語。


 「変身」をテーマにしたアンソロジー。

 前のこのシリーズを読んだときも思いましたが、90年代のSFって面白い
 『90年代SF傑作選』(早川書房)を読みたくなりました。





◎星新一「空への門」
 卓越した頭脳と運動神経を活かし宇宙飛行士を目指す男。そのことに彼はプライドを持っていたが・・・。

 最後にどん底に落とすところがたまらなく冷たくてゾクゾクしちゃいます。
 星新一らしい冷たいヒヤリとした感触がすばらしいです。

◎クリス・ネビル「宇宙少女アン」
 幼い頃に事故で両親を亡くしたベティアン。彼女は育ての親の愛情を一心に受けて育った。しかし、あるときから彼女は孤独感を抱くようになり・・・。

 人間とは次元の違うところで生きているエイリアン。それが地球で人間に交じって育ったら・・・。まるでかぐや姫のような話だなと思いました。最後はセンチメンタルな終わり方で、すてきだと思います。

〇志村貴子「ぼくは、おんなのこ」
 1999年、男性は女性に、女性は男性になってしまうという未曽有の事態に人類は見舞われた。中学生の司はたいへんなショックを受けるが・・・。

 再読になりますが、いいですね。『放浪息子』という作品がとても大好きで、こちらもジェンダーの問題を扱っていました。久々に読み返してみようかな。

〇菅浩江「嘘つきな人魚」
 学芸員の孝弘はある日、少年と出会う。彼はかつてそこにあった人魚の置物に会いたいというのだ。しかし、その置物はすでになくて・・・。

 連作短編の中の一つということで、その中で読めば、もう少し状況に入り込めて面白かったかもしれない。でも、意外性のあるラストは好き。

☆イアン・マクラウド「わが家のサッカーボール」
 精神状態によって変身してしまう世界。ある日、母親がナマケモノになったまま戻らなくなってしまい・・・。

 いろいろなものに変身・変化できてしまう世界。しかし、変化したまま戻らなくなってしまう人もいる。おじいちゃんは犬になったまま戻らないし、母親はナマケモノになってしまう。なんという世界観。イングランドのサッカー文化に憧れを持つ、サッカー好きの僕としてはそこもたいへん面白かった。とにかく、異文化に出会ったという感じで、読んでる間中、うれしかったです。話そのものはどちらかというと暗いんですけれどね。
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プロフィール

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A・T
年齢:
40
性別:
男性
誕生日:
1983/08/31
自己紹介:
ジブリとSFと児童文学とマンガが三度の飯より大好きなおじさん。

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