魔法が本当に存在する国インガリーで、三人姉妹の長女に生まれたソフィー。「長女は何をやってもうまくいかない」という昔話のパターンが実現したかのように、ある日ソフィーは、『荒地の魔女』に呪いをかけられ、九十歳の老婆に変身させられてしまう。家族を驚かせたくないと家出したソフィーは空中の城に住む、うぬぼれ屋で移り気な若い魔法使いハウルのもとに、掃除婦として住み込んだ。ハウルに魔力を提供している火の悪魔とこっそり取引したり、ハウルの弟子と、七リーグ靴をはいて流れ星を追いかけたり。謎のかかしや、犬人間も現れて…?やがて、ハウルの意外な素顔を知ったソフィーは、力を合わせて魔女と闘おうとするが…?イギリスの人気作家ジョーンズが描く、読み出したらやめられない魅力的なファンタジー。
面白い。
宮崎駿監督の『ハウルの動く城』の原作です。
映画の前半はけっこう原作に忠実なのだな、と思いました。
後半に関しては、映画も原作もたいへん忙しい展開だなと思います。
僕の印象としては、映画版『ハウル』は、前半がとても魅力的な物語であるのに対して、後半は「なんかついていけないなー」というものです。その原因の一つは、
映画の後半が原作と乖離しすぎていることにあると思います。原作者がどう思っているのか気になります。そういえば、DVDの特典で作者のインタビューがあったはずなので見てみよう。
物語は、いわゆるメルヘン、
ヨーロッパの民話を逆手にとったような展開で始まります。民話では長女がいつも痛い目を見て、末の娘が活躍するというのがお約束です。今回の主人公ソフィーも荒れ地の魔女に老婆になる呪いをかけられてしまいます。それでも、あくまで
主人公は長女のソフィー。彼女は呪いに負けず、魔法使いハウルの城に転がり込み、呪いを解く方法を模索するのです。
ソフィーが実は、命を吹き込む魔法の持ち主であったり、カルシファーは流れ星でハウルが心臓を差し出すことで彼を救っていたり、ハウルが実はウェールズの出身であったり・・・・・・と映画では描かれていない事実が次々わかって
映画の理解を補完する役割も果たしてくれました。それでも、まだ映画は完全に理解しきれていないのですが・・・。
最終盤にこれまでに張った伏線を
怒涛のように回収するのですが、頭の悪い僕には追い付けないほどの情報量で、これはもう一度最初から読んでみないといけないなと思いました。犬の正体、カブ(かかし)の正体に驚き、荒れ地の魔女の企みに驚き、脳みそがパンクしそうでした。
ダイアナ・ウィン・ジョーンズさんの作品は初めて読むのですが、とっても面白かった。
続編も読んでみたいし、他の作品、例えばジブリの新作『アーヤと魔女』なんかもぜひ読んでみたいと思いました。
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